オーガニックにビーガン向け、ダイエット・・・米小売で進む冷凍食品の ”ヘルシーフード化”

平山 幸江 (在米リテールストラテジスト)
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コロナ禍で顔ぶれに大きな変化
健康志向に応えた商品が急増

新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染拡大に伴い、米国でも需要が急増している食品カテゴリーの1つが冷凍食品だ。価格が手頃で長期保存ができるほか、以前に比べると味や品質、栄養価が向上していることもありコロナ禍で販売数が増加。追い風が吹くなか、スーパーマーケット(SM)をはじめとする食品小売各社は小規模メーカーの新規開拓や、植物由来食品を使った商品の展開など、革新的な動きを見せている。本稿では、冷凍食品の販売戦略を企業別に解説していく。

品揃え・価格帯が拡大するウォルマートの冷凍食品

 米小売最大手のウォルマート(Walrmart)は近年、オンラインでの食品販売に力を入れている。それに伴い、もともとの主力顧客である中~低所得者向けの品揃えだけでなく、オンライン販売の拡大によって新規に獲得している高所得者層の需要が高い食品の開発・販売にも力を入れている。

 その一環として約2年前から、それまで売れ筋といえばアイスクリームや冷凍のチキンナゲット、ピザといった程度で、変化や革新に乏しかった冷凍食品部門の改革も地道に行ってきた。

 皮切りとなったのが、当時はまだ零細企業であったカリパワー(Caulipower)社が開発した同名の冷凍ピザの発売だ。これはグルテンフリーのカリフラワーを原材料にしたピザ生地を使った商品で、ウォルマートはその革新性に注目し販売に乗り出した経緯がある。その後も同様に、小規模企業の革新的なヘルシー商品の開拓を進め、品揃えを増やしていった。

 このほかにも、高脂肪・低糖質の食事法「ケトジェニック・ダイエット」や旧石器時代の食事法を取り入れた「パレオ・ダイエット」に対応した商品、またこれらのメニューでよく使用される人参、ビーツ、カリフラワーなどの野菜を細長くパスタ状にカットしたものや、米状に粉砕した冷凍品を従来の品揃えに追加。冷凍ケースのサインには「ヘルシーフーズ(Healthy Foods)」と掲げて訴求している。

 このように、ウォルマートにおける冷凍食品の品揃え、価格帯は大幅に拡大している。図表は米国の家庭に欠かせない冷凍ピザの品揃えだ。

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記事執筆者

平山 幸江 / 在米リテールストラテジスト

慶應義塾大学、ニューヨーク州立ファッション工科大学卒業。西武百貨店勤務後1993年より渡米。伊藤忠プロミネントUSA(Jクルージャパン)、フェリシモニューヨーク、イオンUSAリサーチ&アナリシスディレクターを経て2010年より独立。日系企業の米国小売事業コンサルテーションおよび米国小売業最新トレンドと近未来の小売業をテーマに、ダイヤモンド・リテイルメディア、日経MJ他に執筆、講演会多数。

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