急成長する最先端のリテールデジタルイベント、ショップトーク2023で語られた注目の内容とは

平山 幸江 (在米リテールストラテジスト)
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2016年に初めて開催された「SHOPTALK」(ショップトーク)はすでに米国小売業を対象とするカンファレンスでは全米小売業協会(NRF)による「NRF Retail’s Big Show」(NRFビッグショー)に次ぐ規模だが、日本ではまだ知名度が低い。しかしNRFと異なるコンセプトで明日の小売業界を考察でき、日本からも徐々に参加者が増えている。ショップトークとはどんなカンファレンスなのか、そして今年3月にラスベガスで開かれたショップトーク2023で話されたこと、個別のセッションでとくに注目すべきものをまとめた。

一強のNRFを追い上げる!ショップトーク誕生秘話

 ショップトークは創業者アニル・アガーワル氏のユニークなビジョンから生まれた。インターネット時代の到来にいち早く対応し、フィンテックのスタートアップ企業を次々に起業し売却し起業家としても資産家としても成功を収めたアガーワル氏。売却先にはグーグル(Google)や上場企業グローバルペイメンツ社が含まれる。その後ビジネスイベント事業に注目した同氏は、モバイルコマースの出現とフィンテックの拡大で金融業界に革新が始まった時期に決済・金融サービス最大のイベント「マネー20/20」をニューヨーク、ロンドンで開始、2015年からショップトークを起業し、同名のカンファレンス「ショップトーク」を開始した。

 大手小売や消費財企業のアドバイザーを務める小売業界の重鎮ロビン・ルイス氏は、アガーワル氏を「ディスラプションのマスター」と称している。アガーワル氏はNRFビッグショーの会場でルイス氏にショップトークのビジョンについて語ったことがある。

ショップトークの会場
ショップトークの会場 出典:ショップトーク提供

 「ショップトークは一方的に話を聞く講演会ではなく、数千人(編集部注:いまや1万人以上)ものプロフェッショナルが集まり、つながり、アイディアを交換し、シナジーを創造し、ともに学ぶ、コミュニケーションと学習とが合体したプラットフォームだ」と説明し、テクノロジー革命と消費のパラダイムシフトによって小売業界の景色が変貌している今こそ、この形式のショップトークが必要なのだと説いた。

 当時ルイス氏はそのビジョンには賛同したものの「業界は(NRFビッグショー以外に)別のカンファレンスを求めていないよ」と答えたそうだ。しかしその後認識を改め、ルイス氏が率いるメディア「ザ・ロビンレポート」でショップトークを支援する記事を書いている。

ザ・ロビンレポート、‘Shoptalk Meetup:Another First from AnilAggarwal’、2020年6月29日

NRFとの違いは独自コンテンツとミートアップ

 2023年のショップトークは

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記事執筆者

平山 幸江 / 在米リテールストラテジスト

慶應義塾大学、ニューヨーク州立ファッション工科大学卒業。西武百貨店勤務後1993年より渡米。伊藤忠プロミネントUSA(Jクルージャパン)、フェリシモニューヨーク、イオンUSAリサーチ&アナリシスディレクターを経て2010年より独立。日系企業の米国小売事業コンサルテーションおよび米国小売業最新トレンドと近未来の小売業をテーマに、ダイヤモンド・リテイルメディア、日経MJ他に執筆、講演会多数。

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