コロナショックで時価総額を増やした企業、減らした企業ランキング  評価高まるドラッグストアのアフターコロナは?

椎名則夫(アナリスト)
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 次に直近3ヶ月間に株式時価総額を大きく減らした小売企業10社の顔ぶれだ。

直近3ヶ月に時価総額を減らした小売企業ワースト10(単位:億円)

企業名 株式時価総額(2020年4月24日終値) 直近3ヶ月の株式時価総額増加額
イオン 18,664 -1,225
クリエイト・レストランツHLDG 976 -1,262
エービーシー・マート 4,350 -1,510
J.フロント リテイリング 2,278 -1,518
丸井グループ 3,690 -2,167
良品計画 3,221 -2,384
ワークマン 5,189 -2,578
ファミリーマート 8,976 -3,532
セブン&アイHLDG 31,611 -5,763
ファーストリテイリング 50,470 -15,263

ライフライン企業に強まる評価上昇の潮流
これに乗れないコンビニ

 いかがだろうか。業態別に評価が見事に2分している。追い風を受けたのはライフラインを支えるドラッグストアの主要企業(ただしインバウンド依存の大きい企業は敬遠されている)、ここにディスカウントストア、スーパー、100円ショップが並ぶ。一方、逆風だったのは、不要不急の衣料品、生活雑貨、百貨店など。ここにコンビニチェーンも加わった構図だ。一言でまとめれば、トイレットペーパー・マスクに始まる様々な生活必需品と食料品を提供する企業に投資家の関心がシフトしたということだ。

 ここで興味深いのはコンビニの評価だ。東日本大震災の際にライフラインとして注目されたコンビニが今回のコロナショックでは評価を上げるに至らなかった。コロナショックで緊急度の高まった生活必需品について、コンビニが他業態に比べて強い調達力があるわけではない(つまり集客エンジンになっていない)ことが最大の理由といえるが、加えて、リモートワークの定着に伴う都心の人手の減少、在宅時間が増えたことによる調理時間の増加、あるいは食事デリバリーの台頭を株式市場が懸念していると筆者は推察している。営業時間問題やテナントの人件費問題とは異質な新たなチャレンジに直面しており、株式市場はこれを乗り切るシナリオを描けていないのだろう。

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