花王、今期営業最高益を計画 新型肺炎「深刻に捉えている」

ロイター
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羽田空港の様子
新型肺炎について、沢田道隆社長は「深刻に捉えている」と述べた 写真はロイター

[東京 4日 ロイター] – 花王 は4日、2020年12月期(国際会計基準、IFRS)の連結営業利益が前年比3.9―8.6%増の2200億―2300億円になるとの見通しを発表した。11期連続の増益・8期連続の最高益を計画。新型肺炎について、沢田道隆社長は「深刻に捉えている」と述べ、最大限の対応を行っていく考えを示した。

リフィニティブがまとめたアナリスト17人の営業利益予想平均値は2342億円。

連結売上高は同0.5―1.8%増の1兆5100―1兆5300億円の計画。ただ、一部取引を「総額」から「純額」に変更したため、前期も同様にして比較すると、2.8―4.2%増となる。

業績予想をレンジとしたのは、新型肺炎の感染拡大により、インバウンド需要に影響が出ることが予想されるため。レンジの下限は、インバウンドの売上げ高をゼロと見込んだ数字と説明した。花王の19年12月期のインバウンド売上高は全売上高の2%程度だったという。一方で、消毒や手洗いのための製品は増産で対応している。

沢田社長は、新型肺炎の影響について「どのように終息するか分からず、予測は難しい」と述べたうえで「長引けば、世界経済全体に影響してくる」と懸念を示した。

中国には上海などに3工場を持っているが、9日まで春節休暇で、10日以降は通常稼働する予定。今後の感染拡大の状況や規制次第で変化してくるため、緊急事態対策本部を立ち上げ、情報収集を行っているという。

想定為替レートは、1ドル=110円、1ユーロ=125円、1元=16円。

年間配当は、10円増配の140円の見込み。これで、31期連続の増配となる。

2019年12月期は、連結売上高が1兆5022億円(前年比0.4%減)、営業利益が2117億円(同1.9%増)で、直近予想を下回った。ベビー用紙おむつが苦戦する中、化粧品が全体の収益を支えた。日本では、消費増税前の駆け込み需要が当初計画を下回った一方で、反動減と景気減速、インバウンドの減速が重なり伸び悩んだ。

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