社長交代のイオン、外国人株主比率の低さが物語る大きな課題と3つの解決策
外国人投資家から敬遠されるイオン、その理由は?
イオンの株主構成は一般的な日本企業に比べて独特だ。同社の有価証券報告書によれば、19年2月28日現在の株主構成は、所有割合の大きい順に、金融機関36.5%、個人その他34.1%となっており、外国法人等は11.9%に過ぎない。参考までに同日時点のセブン&アイ・ホールディングスでは金融機関33.6%、外国法人等32.6%、個人その他12.2%である。またイオンの株主構成はこの時点だけが特殊だったのではなく、数年来のこの構造である。イオンがいかに外国人投資家から敬遠されているのかお分かりだろう。
外国人投資家がイオンの株主にならない最大の要因は低い資本効率にある。過去5年間(15年2月期~19年2月期)の株主資本純利益率(ROE=年度純利益÷純資産)推移をみると、13.6%→0.5%→1.0%→2.1%→2.1%に過ぎない。ここで思い出していただきたいのが14年8月に発表されたいわゆる伊藤レポート、ここでは上場企業に対してROE8%必達を提言している。同レポート発表後、アベノミクスの効果も手伝ってROE8%を達成した企業が増加したが、イオンはROEの改善を進めることなく我が道を進んでいるように見える。ちなみに小売業時価総額上位20社の中でROE8%未満の企業はイオンとヤマダ電機の2社だけだ。
イオン自体、中期計画において資産効率・資本効率についての目標値を開示していない(ただし、イオンモールはROIC<投下資本利益率>6%という計数を発表している)。これでは外国人投資家がイオンを「株主軽視」とみなし距離を取るのも肯ける。しかも外国人投資家には、「手厚い株主優待で個人株主を集めそれが資本効率改善の圧力を阻害している」と映っているのではないだろうか。
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