ワークマン土屋哲雄専務取締役インタビュー、組織再編で作業服の開発比率を大幅アップ
ワーク強靭化、夏物商品を拡充
―作業服の伸び悩みについて、どのように対応しますか。
土屋 まず、製品開発組織の再編を実施した。「ワーク強靭化」を掲げ、24年下期から本業である作業服に重点を移している。これまで商品の開発は、一般消費者向け商品も作業服も一体で行っており、その比率は1対1であった。「ワーク強靭化」に当たり、開発組織を分割し、作業服に対するリソース比率を8対2へと変更した。
また、季節変動への対応として、品揃えの最適化を進める。年間の販売シーズンを「夏物(3~9月)」「夏秋物・秋物(9~11月)」「冬物(10月中旬~2月)」の3期に再編成し、近年の天候不順に合わせた品揃えを展開する。
いちばんの特徴は、夏物の販売期間を7カ月に延長し、冬物を縮小した点だ。猛暑対策品などの夏物の商品を成長エンジンと位置付け、開発を最優先とする。年間を通じて需要が見込まれる通年作業服は、冬物縮小の影響を補完する重点製品としている。閑散期であった9~10月には、新たに「夏秋物・秋物」のカテゴリーを設けた。これは同社にとって新たな市場であり、複数年をかけて主力製品へと育成していく方針だ。

―具体的にはどのような商品を出しますか。
土屋 今期は「最強仕事着」をテーマに、新商品を出す。
夏の猛暑に対応した新商品として、世界初の新素材を使用し、断熱、暑熱緩和、超透放湿などそれぞれの〝外部環境を無効化〞できる「XShelter」シリーズや、瞬間冷却・瞬間温熱の2モードを搭載した「ペルチェ半導体搭載」シリーズを販売する。
さらに、建設業界応援プロジェクトとして新たに立ち上げたブランド「ZERO–STAGE」シリーズでは、当社の夏物作業服ノウハウの集大成として、猛暑対策の最高スペックを備えた商品を販売する。

また、作業服の人気PB「ワンダーストレッチ」シリーズは、製造ラインを借りた海外の工場に生地と副資材を供給して加工賃だけを支払う加工貿易に切り替えた。それにより、従来価格より1000円値下げし、他社同等品の3分の1の価格で販売を行う。年間を通じて需要が見込まれる通年作業服は、冬物縮小の影響を補完する重点製品に位置付けている。
―ワークマン、ワークマンプラスの今後の展望について教えてください。
土屋 現在、職人がプライベートでも着たくなるような、機能性ワークカジュアル商品の開発に注力している。ワーク強靭化が成功すれば、ワークマンプラス業態を通じて、この機能性ワークカジュアルで海外展開をしていきたい。まずは台湾などを視野に入れている。
HCへの出店、売上食い合わず
―ワークマン全体における今後の各業態の出店について、どのようにお考えですか。
土屋 全体のバランスとしては42年までにワークマン・ワークマンプラスを1100店舗、ワークマンカラーズを900店舗で、合計2000店舗の出店をめざしている。
現在、日本全国のスーパーやドラッグストアから出店のお声掛けをいただいて連携が進んでいる。しかし、ホームセンター(HC)はまだあまり進んでいない。
ワークマンはHCとの相性が極めて高い業態であり、当社の出店は来店動機になる。たとえば、「ホームセンターグッデイ大野城店」(福岡県大野城市)の向かいに初出店した「ワークマンプラス太宰府インター店」は県内で売上1位の店舗である。ほかに、「ホームセンターコーナン」の商業施設に出店している「#ワークマン女子」は売上が全国1位となっており、相互送客につながっている。
よく売上が食い合ってしまうと思われがちであるが、実際はそんなことはないようだ。たとえば、「カインズ銚子店」(千葉県銚子市)の前に「ワークマンプラスⅡ銚子芦崎店」があったが、改装の際に一時的に移転したら、カインズの店舗の売上が落ちたということもあった。当社との連携は双方にとってメリットになるはずだ。
―カインズは同じベイシアグループですが、ベイシアグループ以外にも出店を考えていますか。
土屋 もちろん考えている。当グループは各社がそれぞれの強みを磨き、独自のとがりを持つ「ハリネズミ経営」が特徴である。張り合うことはあっても、お互い強固に連携しているというわけではないため、当社はフラットな立場にいる。カインズにとどまらず、今後さまざまなHC企業との連携をして新たな市場開拓につなげていきたい。











「#ワークマン女子」から「Workman Colors」へ 売場・商品はどう変わった?