ゲンキー藤永賢一社長が語る、「他のフード&ドラッグ」にない強みと1万店戦略
「フード&ドラッグ」を自ら標榜し、食品強化型のドラッグストア(DgS)を東海・北陸エリアを中心に展開するGenky DrugStores(福井県)。生鮮プロセスセンター(PC)を有し、高鮮度・低価格の生鮮食品を自前で展開するなど、他社にはない特徴で集客力を発揮する。自社の経営戦略と今後の方針、そしてフード&ドラッグ市場の展望について、藤永賢一社長に聞いた。
EDLPの追求がコロナ禍で追い風に
──まずは、コロナ禍を経た足元の経営環境についてどう認識していますか。
藤永 EDLP(エブリデー・ロープライス)によって安さを訴求する当社の販売施策が、昨今のインフレ基調において大きな優位性を発揮していると感じます。
以前からナショナルブランド(NB)、プライベートブランド(PB)を問わず、商品構成グラフでいう左寄りの「ボトムプライス」を追求してきましたが、2019年にチラシを廃止し本格的にEDLPへと移行しました。経営数値に効果が表れるまで最低でも1年はかかると見ていましたが、その後コロナ禍に入って食品も医薬品も衛生用品もワンストップで手に入るフード&ドラッグに対する需要が伸び、そこにEDLPという圧倒的な安さが加わることで、われわれのフォーマットは大きな支持をいただきました。
──食品の取り扱いも年々拡充していますが、競合他社も同様の動きを見せています。この流れについてはどう見ていますか。
藤永 フード&ドラッグを標榜するからには、「食品スーパー(SM)に行かなくても買物が完結できる店」にする必要があります。ただし、食品を単なる“集客マシン”と位置づけて展開するだけでは、よい結果は得られません。食品を入れると、ヘルス&ビューティケア用品の売上高構成比が下がり、それだけ収益性も低くなるからです。
また、フードを絡めたワンストップ性を打ち出すなら、生鮮は必須です。他社では外部納品やコンセッショナリーの導入、あるいは地場SMのM&A(合併・買収)によって生鮮の品揃えを拡充する動きもあるようです。しかしそうした戦略は、収益性はもちろん、売場運営や人材のマネジメント面でも負担が大きいでしょう。
それに対してわれわれは売場運営、商品政策(MD)の策定、PC活用、物流をすべて自前で行っています。自社で戦略を考えて仕組みをつくらなければ、生鮮を含めた食品の導入による収益性向上と差別化は難しいのではないでしょうか。
PC、物流センター拡充し商品力に磨きをかける
──MDにおいては、PBの存在感が大きくなっています。
藤永 PBでめざすのは、
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