商品、DX、ビジネス変革……いよいよ迎えたコンビニ再成長への岐路

北野 裕子 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

人手不足、人口減少、ビジネスモデルの維持に課題

 現状のCVSの好業績は、あくまでCVS本来の事業や強みを生かしたもので成り立っている。

 セブン-イレブンの「7NOW」や、ローソンが「Uber Eats」など外部の宅配業者と連携して行っているデリバリーサービスなど、近年は新規事業の乗り出す動きがあるものの、それらは他業態もすでに展開しており、CVSの新たな可能性を示すような革新的なサービスとは言い難い。

 今後、高齢化や人口減少がますます加速していく中で、24時間営業や各店舗で提供している多様なサービスの維持が難しくなる。セコマの赤尾社長は「今のCVSは平成の“人手が余っていた時代”のビジネスモデル。働き方や生活習慣も変わっていく中でいちばん影響を受けるのはCVSではないか」と危惧する。

 店内業務を担うロボットやAIによる自動発注システムなど省人化への設備導入が進み、無人店舗も増えている。ただ、無人店舗も結局は商品の補充や清掃などを管理する人員が必要であり、不明ロスも一定数は生じる。とくにCVSは一部の行政サービスを店舗で提供するなど、業務の幅が広い。完全に省人化するには、時間はかかるだろう。

 一方で、出店数が伸び悩んでいるとはいえ、これまで築いてきた店舗運営網や物流、好立地にある店舗はCVSの資産でもある。

 「近さ」「便利さ」という最大の強みを維持していくのか、店舗運営を大きく変更するのか。いずれにせよ、CVSという業態が提供できる価値、提供すべき価値を再定義することが喫緊の課題だ。業態のあり方を含め、CVSは次の5年、10年へ、新たに動き出す岐路に立っている。

 

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記事執筆者

北野 裕子 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

兵庫県出身。新聞社を経てダイヤモンド・リテイルメディアに入社し、ダイヤモンド・チェーンストア編集部に所属。

趣味は国内の海や湖を巡り、風光明媚な場所を探すこと。おすすめのスポットは滋賀県の余呉湖、山口県の角島大橋。

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