コンビニジャーナリストが提言! 未来のコンビニに求められる「やさしさ」とは?

文:吉岡 秀子(コンビニジャーナリスト)
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コンビニエンスストア(CVS)業界では、各社が商品力の強化や新規事業立ち上げなど、従来の商品やサービスをさらに進化・変革させる取り組みを進めている。

物価高や人口減少、消費動向の変化などさまざまな課題が取り巻く中で、CVSはどのような施策を展開していくべきか。業界を長年取材してきた吉岡秀子氏が解説する。

経済性を重視した販促で顧客獲得

 CVS業界は変革の時を迎えている。デジタルの活用で店舗運営の生産性向上を図る一方、デジタルサイネージやEC運営、ふるさと納税といった新規ビジネスへの参入を積極化させる動きも目立つ。

 セブン&アイ・ホールディングス(東京都/スティーブン・デイカス社長)のようにグローバル展開をCVS成長の軸に据える企業もある。数々の変化が起きている中で、本稿では消費者の暮らしに直結する「商品」のトレンドに注目し、業界の現状と今後の展望を考えてみたい。

コンビニ イメージ おにぎり
コンビニエンスストア業界では、各社が商品力の強化や新規事業立ち上げなど、従来の商品やサービスをさらに進化・変革させる取り組みを進めている(i-stock/VeselovaElena)

 大手CVS3社の商品政策を見ると、店内調理による出来立て商品の強化やファッションアイテムの拡充、プライベートブランド(PB)刷新など、独自性を追求し他社との差別化を図る動きが加速している。一方で、共通するキーワードも見て取れる。「経済性」と「サステナビリティ」だ。

 まず「経済性」について見ていく。物価高騰が続き、消費者の生活防衛意識が高まる中で、財布の紐をいかに緩めてもらうかは、どの業態も抱えている課題だ。その中でも、価格よりも価値訴求を重視した商品政策を進めてきたCVS業界が、消費シーンに値ごろ感を浸透させるのは容易ではない。

 だが近年は、各社が展開する販促手法が新規顧客の獲得につながっている。筆者はこの手法をエモくておトク、略して“エモトク戦略”と呼んでいる。

 具体的な施策としては、①「〇〇を買えば〇〇進呈」といったクーポン戦略、②商品の内容量をアップした「増量キャンペーン」、③低価格帯シリーズの投入などが挙げられる。

 その中でも、ローソン(東京都/竹増貞信社長)が実施した「盛りすぎチャレンジ」では、47都道府県にかけて増量率を47%にしたり、セブン-イレブン・ジャパン(東京都/阿久津知洋社長)が低価格帯商品のシリーズを「うれしい値!」と命名したりと、ユーモアを交えながらお得感を強調した。まさに“エモくておトクな戦略”が話題となって当たったというわけだ。

 とくに若年層が多く利用するSNSで広くシェアされたことで、「囲い切れていなかった若年層からの支持が高い」(業界関係者)という成果が得られた。

 変化球にはなるが、インバウンド消費も追い風だ。

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