商品、DX、ビジネス変革……いよいよ迎えたコンビニ再成長への岐路

市場規模は拡大も業界に漂う閉塞感
「近さ」や「便利さ」を強みに、成長を続けてきたコンビニエンスストア(CVS)。日本フランチャイズチェーン協会によると、2024年の市場規模は対前年比1.2%増の11兆7953億円で、コロナ禍を乗り越え4年連続で前年を上回っている。
25年2月期の決算では、ファミリーマート(東京都/細見研介社長)と、ローソン(東京都/竹増貞信社長)の全店平均日販が過去最高を更新。セブン-イレブン・ジャパン(東京都/阿久津知洋社長:以下、セブン-イレブン)は過去最高とはいかなかったものの70万円近い高水準の日販を維持している。
こうした数字だけを見れば、CVS業界は堅調のように思えるが、曲がり角にさしかかっているのは確かだ。24年末時点におけるCVSの店舗数は5万5736店。国内CVSの店舗数が5万店を超えたのは14年で、そこから約10年にわたり横ばいの状況が続いている(いずれも日本フランチャイズチェーン協会調べ)。そうした状況から、かねて指摘されていた国内CVSの“飽和論”が再燃している。
競争環境も熾烈化している。フロンティア・マネジメントの西上義彦氏が「流通・小売業界はもはや業態の境目はなくなっており、業態を超えた競争が激化している」と指摘するように、近年はイオン(千葉県/吉田昭夫社長)グループの「まいばすけっと」をはじめとした小型のスーパーが、CVSが大量出店してきた商圏内に侵食し、シェアを削り取っている。
生鮮や総菜も含めた食品の扱いを強化するドラッグストアの成長も著しい。「近さ」「便利さ」、そして即食商品を中心とした「食」というCVSの強みが脅かされる状況になっている。
また、24年8月にはセブン&アイ・ホールディングス(東京都/スティーブン・デイカス社長)がカナダのCVS大手アリマンタシォン・クシュタール(Alimentation Couche-Tard)から買収提案を受けていることを公表し、CVS業界のみならず国内の小売業界に衝撃が走った。
26年2月期はセブン&アイ、セブン-イレブンともにトップが交代し、CVS事業へ経営資源を集中させようと体制刷新を図っているものの、見通せない状況が続いている。業界首位を長年堅持しているセブン-イレブンを擁するセブン&アイが外資系企業からねらわれているという事実は、閉塞感が漂う国内CVSの状況を顕著に表しているといえる。
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