敏腕コンサルタントが解説 コンビニ業態そのものの課題とは何か?

解説:西上 義彦(フロンティア・マネジメント株式会社シニア・ディレクター)
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コンビニエンスストア(CVS)各社の2025年2月期決算が出揃い、今後の戦略が発表された。大手3社では商品力のさらなる強化はもちろん、ビジネスモデルそのものの革新をめざすような動きも見られるが、その方向性は多様だ。CVS業態は今後どのような未来をめざしていくべきか。フロンティア・マネジメントの西上義彦氏に解説してもらった。

業態を超えて増える競合

 まず、現状では大手CVS3社の客数や客単価、日販は大きくは減っておらず、商品政策(MD)や独自の販促企画などで業績を伸ばしている。一方、物価高騰などの外部環境の変化や競合の存在は確実にCVSで買物をする機会を奪う将来的な脅威となっている。

 国内CVSは、踊り場にある。出店は飽和状態で、業態を超えた競合も増えた。国内流通・小売の業態間の境目がなくなりつつある中、CVSとしての従来の提供価値は相対的に優位性が低くなりつつある。

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CVS業態は今後どのような未来をめざしていくべきか(i-stock/urbancow)

 CVSの従来の提供価値とはなにか。それはドミナント出店と必要な商品が揃う品揃えによる「近くて便利」と、「食のコスパの高さ」だ。

 ところが、外部環境の変化、競合によりその提供価値が揺らぎ始めた。顕著な例は、イオン(千葉県/吉田昭夫社長)グループ傘下の小型食品スーパー(SM)「まいばすけっと」だ。生鮮品など食の強みを持ち、価格も割安な小型SMが同商圏に進出し、CVSのシェアを奪い始めている。CVSと同商圏に選択肢ができたことが大きい。

 フード&ドラッグを強化しているドラッグストアや、「Uber Eats」に代表されるフードデリバリーサービス、近年注目されている「ナッシュ(nosh)」のような栄養バランスがとれた冷凍宅配食サービスの存在も無視できない。

 繰り返しになるが、大手CVS3社の客数や客単価、日販は大きくは減っていないものの、外部環境の変化や競合の存在が招く将来的な影響は避けられないだろう。

大手CVS3社で異なる成長施策

 今後のCVSは、既存の延長線上にはない、新たな提供価値を創出できるかどうかが生命線だ。重要なのは、これまで培ってきたアセット価値に着目し、それを軸に新たな事業・サービスを創造すること。では、CVSのアセット価値とは何か。1つ目は駅前や都市部などの

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