商品、DX、ビジネス変革……いよいよ迎えたコンビニ再成長への岐路
新規事業を通して模索続ける大手CVS
そのような状況に対し、大手CVS3社は、新規事業へのチャレンジや最新のテクノロジーを導入した新しいスタイルの店舗開発、既存のサービスの進化とさまざまな方向性で成長を模索している。
既存のCVSでは見られなかった戦略を消費者にわかりやすいかたちで打ち出したのはファミリーマートだ。
今や看板商品の1つにもなったオリジナルの衣料ブランド「コンビニエンスウェア(Convenience Wear)」は、衣類だけでなく、タオル、文房具へとラインアップを拡大している。23年にはCVS業界で初めてファッションショーを開催したことも話題となり、アパレルブランドとして一定の地位を築き始めている。

ファミリーマートは新規ビジネスにも力を入れており、国内でも先駆けてデジタルサイネージの設置を進め、リテールメディア事業を手がけてきた。デジタルサイネージ「FamilyMartVision」の設置店舗数は25年2月期で1万店を超え、同事業の関連会社3社の事業利益は、28年2月期目標に掲げる50億円を達成する見通しだ。
自社アプリ「ファミペイ」と「FamilyMartVision」の連携も今後さらに進めていく予定で、店舗を起点にデジタルを積極活用することで顧客接点の創出に注力している。
一方、経営体制が大きく変わったのがローソンだ。ローソンは24年9月より、親会社の三菱商事(東京都/中西勝也社長)とKDDI(同/松田浩路社長)が50%ずつ出資する共同経営体制に変更。3社で連携し、店舗を「Real×TechConvenience」へ変革するべく準備を進めており、25年夏ごろにその1号店が開店する予定だ。
セルフレジや店内業務を担うロボットの稼働、遠隔で来店客の相談に乗る窓口の設置など店舗全体のDXを強化した店舗で、いずれは地方創生にもつなげたい考えだ。
既存のサービスを進化させ、現状持つ強みを最大化しようとしているのがセブン-イレブンだ。セブン-イレブンが成長施策に掲げるのが、出来たて商品の提供である。
店内で茶葉を抽出し、いれたての紅茶を提供する「セブンカフェ ティー」のほか、焼きたてパンや焼きたてピザまでメニューを広げ、さらにはデリバリーサービス「7NOW(セブンナウ)」での出来たて商品の配達も始めている。現在は一部店舗にとどまっているが、既存店舗への水平展開に向けてテスト中だ。
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