オーケー進出で急変する競争環境……関西小売市場は誰が、どう変わるのか?

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

関西フードマーケットは新フォーマット開発

 他方、大胆な改革に踏み切ったのが、関西の大手流通グループであるエイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府/荒木直也社長:以下、H2O)傘下で「阪急オアシス」「イズミヤ」「関西スーパー」を運営する関西フードマーケット(大阪府/林克弘社長)だ。消費者の価格感度の高まりを受けて、店舗フォーマットの再構築と組織再編を同時に推し進め、関西市場における競争力向上を図っている。

 関西フードマーケットは自社の店舗フォーマットを、「高付加価値型(Aタイプ)」と「価格訴求型(Cタイプ)」の2つに再定義。4月23日には「関西スーパー デイリーマート市岡店」(大阪府大阪市)をCタイプとしてリニューアルオープンしたのに続き、同25日にはAタイプの「阪急オアシス宝塚南口店」(兵庫県宝塚市)を新規出店した。

 組織再編では、イズミヤ・阪急オアシス(大阪府/林克弘社長)の本社・本部機能を関西フードマーケットに移管。これにより商品調達や物流を一元化し、効率的な運営を実現するとともに、価格と価値のバランスを重視した商品政策をグループ全体で展開しようとしている。林社長は「変化する市場環境において、『選ばれる店』となるためには、組織と店舗、両面での改革が不可欠だ」と話す。

 このように、関西市場では関西地盤の有力チェーンが、それぞれ独自の強みを軸に、競争力に磨きをかけている。一方で、関西フードマーケットは、組織と売場の変革に踏み出し、自らの立ち位置を再構築しようとしている。関西市場の競争は静かに、しかし着実に、新たな局面へと移行しつつある。

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記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修士課程修了後、関西のグルメ雑誌編集部を経て、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。関西小売市場やDX領域を中心に取材・執筆を担当している。現在は大阪府在住。

まとまった休日には舞台・映画鑑賞を楽しむほか、那智勝浦へ弾丸旅行に出かけることも。世界各国の家庭料理を再現するのも趣味のひとつだが、料理に入れたスパイスで歯が欠けたので今は控えめに取り組んでいる。

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