売上2000億円めざし成長中! 阪神ローカル・マルハチの隠された実力
関西の食品スーパー(SM)市場において、着実に規模を拡大しているのがスーパーマルハチ(兵庫県/栗花正雄社長:以下、マルハチ)だ。阪神間を中心に店舗展開を進める同社は、2024年2月期(23年度)に売上高1027億円を記録し、35年度には2000億円をめざす成長戦略を掲げる。今回は「マルハチ南芦屋浜店」(兵庫県芦屋市)を調査し、売場からマルハチの強さを探った。
※調査日:2025年4月5日 文中の価格は調査日のもの、本体価格
売上高1000億円超!着実に規模を拡大
兵庫県・大阪府を中心に店舗展開を進めるマルハチは、2025年4月時点で阪神間に45店舗を構える地域密着型のSMだ。
そのルーツは戦後間もない1946年、神戸市灘区の灘中央筋商店街で開業した家庭用品の小売店にさかのぼる。52年にマルハチを設立し、法人化。88年にはSM業態へと本格的に転換した。以降、地域の暮らしに根ざしたチェーンストアとして着実に基盤を築いてきた。
同社が掲げるコンセプトは、「よりよいものをより安く、安心して買い物できるお店」。この姿勢は、青果・鮮魚・精肉などの生鮮3部門における徹底した品質管理にも表れている。とくに、商品の鮮度や使い勝手、味へのこだわりは、長年にわたり地域住民からの信頼を獲得する原動力となってきた。
実際にマルハチは近年、着実に業績を伸ばしており、2023年度に売上高1000億円を突破。35年度に売上高2000億円を目標に掲げ、着々と規模を拡大している。

●住所: 兵庫県芦屋市海洋町8-1
●営業時間: 9:00~22:00
●駐車場: あり
●アクセス: JR東海道本線「芦屋」駅からクルマで約11分
今回調査したのは、同社が就活サイトにて「売上がいちばん高い」としている「マルハチ南芦屋浜店」だ。同店はJR東海道本線「芦屋」駅からクルマで約11分の場所に位置する。周辺には住宅地が立ち並び、クルマでの来店客が多いようだった。また、北に1.5㎞地点に「グルメシティ芦屋浜店」、東に2.3㎞地点に「コープこうべ コープマリナパーク」がある。
売場を見ていくと、やはり生鮮の鮮度の高さが際立っていた。青果売場では、いちごの販売時期が終盤に差しかかるなか、柑橘類を豊富に品揃えすることで、旬を前面で打ち出していた。たとえば三重県産「セミノール」(4個入り498円)や和歌山県産「清見オレンジ」(4個入り498円)など、近隣地域の高品質商材を揃えていた。
また、「せとか」(2個入り680円)などの高価格帯の商品にはフルーツキャップをかぶせてトレーにのせるなど、丁寧なパッケージングが目を引いた。一方で「理由ありせとか」(4個入り598円)といった規格外品は袋詰めで提供し、価格と価値のバランスを明確にするなど、きめ細かな対応が目立つ。
野菜は、キャベツ1玉298円、ブロッコリー1株98円といった値ごろ感のある価格設定が特徴で、日常使いの商品を手頃に揃えられる安心感がある。
鮮魚売場では、愛媛県産ハモ(100g298円)や明石産天然真鯛(1尾498円)など、近海の旬の商材を揃えており、季節感ある提案が目に留まった。また、相場高の「いかなご」に代わり「しらすのくぎ煮」(100gあたり498円)を展開していたのも興味深い。

珍味類を含めてインストア加工を基本とすることで、丁寧な商品づくりときめ細かな量目対応を実現していた。このように単身世帯からファミリー層まで幅広いニーズに応えることで、鮮魚部門の魅力を高めている。
総菜のクオリティの高さ際立つ
精肉売場では、山形牛をはじめ、十勝若牛やオーストラリア産牛肉など、多様な原料を活用し、焼き肉用・すき焼き用・切り落としなど用途別に幅広く商品を展開している。
盛りつけも丁寧で、他店では切り落とし類は肉同士がくっついた状態で盛りつけられていることもあるなか、マルハチでは切り落とし肉までも1枚ずつふんわりと並べられており、家庭調理時にとても使いやすい。こうした対応は、インストア加工だからこそ実現できる強みのひとつである。
総菜部門では、商品のクオリティの高さが際立っていた。なかでも印象的だったのが、
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