激戦の関西市場で孤高の存在? ディスカウントストア「サンディ」の実力と強みを徹底解説
本特集で実施しているレシート調査によれば(P85掲載)、オーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)出店後も自店シェアを伸ばしているのがディスカウントストア(DS)のサンディ(大阪府/伊藤仙治社長)だ。大阪市内の住宅密集地に立地する「サンディ生野南巽店」を調査したところ、浮かび上がってきたのは、徹底的に計算された合理的な運営モデルだった。
※調査日:2025年3月18~19日 ※文中の価格は調査日のもの、本体価格
「ボックスストア」型の効率的な運営モデル
サンディは1980年に創業し、「日本の食料品物価を押し下げ、お客様の暮らしを豊かにする」という理念のもと、関西を中心に店舗網を拡大してきた。就活情報サイトによれば、2024年6月時点の売上高は1106億円、資本金は1億円、店舗数は236店舗にのぼる。
出店エリアは大阪府が147店舗と半数以上を占め、そのほか、兵庫・京都・奈良・滋賀といった近畿圏に加え、岡山県・三重県、さらに首都圏(東京都・埼玉県)にも出店している。同じく就活情報サイトの情報によると、過去10年間で売上高は436億円、店舗数は91店舗増加しており、堅実に成長を遂げてきた。

●住所: 大阪府大阪市生野区巽南3-7-3
●営業時間: 10:00~19:30
●アクセス: 大阪メトロ千日前線「南巽」駅から徒歩4分
こうした成長を支えているのが、「ボックスストア」と呼ばれる店舗モデルである。ドイツ発祥のハードディスカウントストアであるアルディ(Aldi)が代表例として知られるこの業態は、徹底した店舗効率化により、「ハードディスカウンティング」を追求しているのが特徴だ。
サンディでは、什器や装飾を最小限に抑え、段ボールによるケース陳列を基本とし、什器コストと作業負担の削減を実現。さらに、商品アイテム数を絞り、単品大量販売を前提とした売場構成とすることで、商品補充や発注業務の効率化を図っている。これらの取り組みにより、EDLP(エブリデー・ロープライス)とEDLC(エブリデー・ローコスト)を両立しているのだ。
また、各カテゴリーで展開しているオリジナル商品も、サンディの競争力の源泉の1つとみられる。就職情報サイトなどによれば、同社のオリジナル商品の売上高比率は30%を超えている。これらオリジナル商品の一部はナショナルブランド(NB)と見分けがつかないパッケージデザインのものも複数見られた。
こうした手法もアルディの戦略を彷彿とさせる。実際にアルディでは、PBであっても画一的なパッケージデザインにするのではなく、カテゴリーごとにデザインを変えたり、NBを意識したデザインを取り入れている。こうすることで、価格の安さに加え、選ぶ楽しさや買物の楽しさを演出しているのだ。サンディもこうした戦略を取り入れている可能性が高い。
さらに出店戦略では、都市部の住宅密集地には100~200坪の「市内型」、郊外や幹線道路沿いには200~300坪の「郊外型」と、立地に応じた2タイプの標準フォーマットを展開。立地条件、来店手段、商圏特性を踏まえた柔軟なモデル設計により、効率的なドミナント出店を進めている。
青果・精肉・総菜、3部門を外部委託
今回調査した生野南巽店は「市内型」フォーマットに該当する。大阪メトロ千日前線「南巽」駅から徒歩4分の場所に立地する同店。周辺は戸建てと集合住宅が混在する住宅密集エリアで、半径500m圏内には「ラ・ムー生野店」や「万代巽西店」といった競合が出店している。
生野南巽店は、入口と出口を完全に分離したワンウェイコントロールを意識したレイアウトだ。突き出し陳列やアイランド什器は一切なく、商品はすべて段ボール箱のまま壁付け什器に陳列。価格表示POPは黄色で統一し、さらに特売商品は赤文字、通常商品は黒文字で表示することで、視認性を高めている。POPのサイズもフェース幅に応じて柔軟に調整し、顧客が“安い商品”を探さずとも自然に目にとまる仕掛けとなっている。
一方で、床材は白を基調とした光沢のあるタイルが使われ、明るい照明とあいまって、清潔感が演出されていた。ローコスト業態でありながらもチープさを感じさせない快適性が保たれているのも特徴だ。
入店直後に広がるのはサンディの“戦略的スペース”とみられる特設売場で、
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