オーケー進出で急変する競争環境……関西小売市場は誰が、どう変わるのか?

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

“オーケー流”を貫き着々とシェアを獲得

 「商売の仕方を根本的に変えているわけではない。関東でやってきたことを愚直に続けている」──。そう話すのは、オーケー(神奈川県)の二宮涼太郎社長だ。

 オーケーが関西に上陸してから約5カ月が経過した。二宮社長の言葉どおり、同社は自社の事業スタイルを一貫して守り続けている。

 チラシ特売による「ハイ&ロー」が主流の関西市場において、オーケーが掲げるのは「高品質・EDLP(エブリデー・ロープライス)」だ。その販売コンセプトは、今、関西でも着実に根を張りつつある。

 現に関西1号店の「オーケー高井田店」(大阪府東大阪市)、2号店の「オーケー西宮北口店」(兵庫県西宮市)ともに、初動の熱気が落ち着いた後も好調な売上を維持している。二宮社長は「首都圏の既存店でも開業直後に一度売上がピークを迎え、いったん落ち着いた後、数年かけてさらに伸びる傾向がある。関西の2店舗もこの流れに沿っており、当社のEDLP施策が支持を得ているとみている」と手応えを口にした。

 こうした動向から、二宮社長は冒頭のとおり、関東と関西の消費者ニーズに本質的な違いはないと分析する。そのうえで「品質が良いものを毎日安く提供する」というオーケーの方針は、地域にかかわらず支持されるとあらためて強調。「関西はハイ&ローによる価格のメリハリが強い市場といわれるが、競合の特売価格が当社の通常価格を大幅に下回るケースはそれほど多くない」と自信を覗かせた。

 ただ、関西はオーケーの独擅場というわけではない。首都圏や中部地方の有力企業も関西進出を加速させ、勢力図は大きく変化、複雑化しつつある。

関西小売市場、オーケー・万代・ライフ・ロピア・関西スーパー

 たとえば、首都圏をはじめ全国各地で出店を進め、高い集客力を誇るロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)や、関西での売上500億円超を目標に掲げるバローホールディングス(岐阜県/小池孝幸社長)は、ここ数年、関西市場への展開を本格化し、競争は一段と激しさを増している。

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記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修士課程修了後、関西のグルメ雑誌編集部を経て、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。関西小売市場やDX領域を中心に取材・執筆を担当している。現在は大阪府在住。

まとまった休日には舞台・映画鑑賞を楽しむほか、那智勝浦へ弾丸旅行に出かけることも。世界各国の家庭料理を再現するのも趣味のひとつだが、料理に入れたスパイスで歯が欠けたので今は控えめに取り組んでいる。

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