PC新設にネットスーパー強化!岡山マルイの秀逸な戦略

取材・文:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
Pocket

ローカルスーパー1280

岡山県に本部を置き、食品スーパー(SM)を展開するマルイ。商勢圏の岡山県、鳥取県、島根県は各地で食文化が大きく異なる。そのため地域密着型の品揃え、店舗運営に力を入れる方針で、強い支持を獲得している。今年5月、経営トップに就任した松田和也社長は、「『絆』を大切にし、お客様の幸せを紡ぐ存在となれるよう努力したい」と意気込みを見せる。

ネットスーパーに力を入れる

 マルイの創業は1931年、岡山県津山市で乾物や加工食品などを販売する「マルイ食料品店」を開いたのが起こりである。55年には西日本でいち早くセルフサービス方式を取り入れた売場づくりで注目を集めた。会社設立は58年で、70年代後半以降、徐々に店舗数を増やしてきた。

「マルイ黒田店」
今年5月27日、島根県松江市にオープンした「マルイ黒田店」

マルイ企業概要
本社所在地: 岡山県津山市上河原209-4
代表者: 松田和也社長
売上高: 278億円(2024年2月期)
店舗数: 24店舗

 新規出店の一方、商勢圏を広げながら着実に店舗網を拡大。現在、本拠の岡山県のほか、鳥取県、島根県において24店舗を展開している。2024年2月期の売上高は278億円。

 なおマルイは持ち株会社、マムハートホールディングス(岡山県/松田欣也社長)の中核企業でもある。同HDの24年2月期売上高は490億円、マルイを含め50店舗を展開している。

 さて商勢圏に目を向けると、年々、経営環境は厳しさが増しているのが現状である。有力SMが多いほか、ここ10年は食品強化型ドラッグストア(DgS)やディスカウントストア(DS)など、価格訴求型の異業態も目立つようになってきた。さらに中国、山陰は、人口減少が全国平均よりも顕著なエリアである。

松田和也社長
松田和也社長

 「確かに厳しい市場だが、戦略次第では開拓できる分野はまだ多いと認識している」。こう話すのは、マルイの新社長に就任したばかりの松田和也氏だ。同氏は大学卒業後、大手食品メーカーを経て14年に入社。今年5月、常務(営業本部長)から昇格した。

 開拓できる分野の1つとして取り組むのは、

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

取材・文

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態