セブン&アイ、激化するアクティビストとの対立 求められるのは「人」選ではなく「事業案」選
2023年5月25日、セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)の株主総会が予定されています。残り一ヶ月を切り、主要株主であるバリューアクト・キャピタル(以下、バリューアクト)とセブン&アイの経営陣との対立が深まっています。
バリューアクトの「貢献」と「苛立ち」
今回取締役14名全員が任期を迎えます。このうち1名が退任するため、会社側は社外独立取締役2名の新任と13名の社内外取締役の再任を目指しています。
一方、バリューアクト側は井阪隆一社長を含む4名(うち1名は退任予定)の取締役の再任に反対しており、代わりに社外取締役候補4名を提案しています。会社側は井阪社長を含む社内取締役2名と社外取締役1名の再任、および社外取締役2名の新任を目指しています。
会社側の思惑通りとなれば、社内6名・社外9名の15名体制に、バリューアクトの思惑通りになれば社内4名・社外10名の14名体制になるはずですが、可能性としてはバリューアクトが望まない井阪社長等の再任と、バリューアクトが希望する社外取締役のいずれもが任命される可能性があろうかと思います。
招集通知によれば、取締役の定員15名に対して候補者が19名いるため、採決の結果、出席株主の議決権の過半数の賛同を得た候補者が15名を超えた場合には、賛成の議決権の個数が多い取締役候補者から順に15名を選任するとされています。議決権行使書用紙の確認が必要ですが、株主が慣例通り一人一人に賛否を表明することができるのであれば、取締役の構成は理論的に見てと流動的と考えます。
筆者は、バリューアクトはセブン&アイの企業価値に対して大きな貢献をしてきたと思います。
カリスマであった鈴木敏文氏の退任後、セブン&アイは米国でのコンビニ事業展開に舵を切り、また百貨店事業の切り出しを決意しました。資本市場的に言えば、最も強みを発揮できる事業に経営資源を集中投下し”勝ち切る”ことが必須ですので、当然の動きとなりますが、その過程でバリューアクトをはじめ多くの株主が背中を押したことは間違いないと思います。特に発信力のあるバリューアクトの監視の目は、経営陣には無視できないものだったのではないでしょうか。
それゆえバリューアクトの苛立ちには共感します。百貨店事業の事業譲渡が停滞し、収益性が回復しないスーパーストア事業に対するおおらかな投資の継続に対して筆者も納得できていません。
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