国内2つのフード&ドラッグ超激戦区を調査!勝者の行方と生き残るスーパーの条件とは
フード&ドラッグを台風の目に、業態を超えた競争がとくに熾烈化しているエリアの1つが、東海・北陸地方周辺である。そこで本誌おなじみのコンサルタント・海蔵寺りかこ氏が滋賀県長浜市と岐阜県北方町および岐阜市近郊の2エリアを調査。ドラッグストア(DgS)と食品スーパー(SM)を軸とした激戦の様子と、そこから見えた今後の方向性について考察・解説する。
※調査日:2023年1月30日、文中の価格は本体価格
ゲンキー、アオキの同時出店で環境激変!
本調査のためにまず訪れたのは、滋賀県北部、福井県や岐阜県境にも近接する長浜市浅井(あざい)地区である。市内中心部から6㎞ほど離れた、県内最高峰・伊吹山のふもとにあるのどかなエリアだ。
主要な買物スポットとなっているのが、平和堂(滋賀県)のSM業態「フレンドマート浅井店」と、クスリのアオキホールディングス(石川県)の「クスリのアオキ浅井店」、Genky DrugStores(福井県)の「ゲンキー浅井店」の3店舗。このうちクスリのアオキとゲンキーは昨年6月のほぼ同時期に出店しており、地域の買物環境を激変させた。市内中心部の商業集積エリアまで行かずとも、日常の買物がこの3店舗で完結するようになったのである。
このうちゲンキーの売場を見て感心させられたのはPBの展開手法。カテゴリーごとにブランド名が付され、かつ当該カテゴリーのナショナルブランド(NB)の主力商品を強く意識した商品デザインによって、“PB感”が非常に薄い。おそらく多くのお客はPBと認識せず単純に価格の安さに惹かれて購入しているのだろう。
生鮮も総菜を含めフルラインで導入されており、野菜は葉物類や根菜のほか、たけのこや山菜類の水煮なども展開されており品揃えの幅が広い。鮮魚は鮭やサバの切り身のほかは塩干中心だが、冷凍食品コーナーでも素材や総菜を展開することで品揃えを補完していた。精肉は豚肉と鶏肉を軸にしつつ、使い勝手がよく手頃な価格の切り落とし肉を中心とした品揃え。総菜は弁当・麺類は199円、299円を軸として価格インパクトが大きい。これら生鮮の存在感が大きく、お客も同売場を中心に回遊しており、“ミニスーパー”的に利用しているようだった。
ゲンキーからわずか200mほどの距離にあるのが、クスリのアオキである。生鮮は青果と精肉、鮮魚は塩干のみの扱いで、いずれも外部納品で対応。各地で出店が進んでいるコンセッショナリー(コンセ)導入型の生鮮フルライン店舗と比較すると、とくに精肉の品揃えに若干の物足りなさを覚えてしまう。ただ、同店はゲンキーにはない調剤薬局を併設することで、集客を図っているようだ。
SMのフレンドマートはそこから約500m離れた場所にある。同店は生鮮を軸に“SMらしさ”を前面に打ち出しており、「鍋」「節分」に関連した販促を展開するなど季節商品の提案にも抜かりがない。地場野菜や鮮魚の品揃えもDgSにはマネできない充実ぶりで、平日昼過ぎの時間帯から多くの地元客でにぎわっていた。
“SMの実力”が競争環境を左右する
生鮮を含めた
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