ウエルシア、わずか20年で売上を200億円 から1兆円目前に成長させた戦略とは

有田 英明
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ウエルシアホールディングス(以下、ウエルシア、東京都)は2022年2月期年商1兆円を突破する計画だ。私がウエルシアと出会った頃は売上高200億円程度だったので、短期間で年商を50倍にしたことになる。ウエルシアの戦略を私なりの視点で分析する。ウエルシアの急速成長に学ぶべきことは企業としての思想性と戦略、そして組織運営論と変化を厭わない勇気である。

短期間に日本一になるための戦略

 戦術は戦略を凌駕できない。

 ちなみに10年単位で通用する方法が戦略であり、短期間しか通用しない方法を戦術という。ウエルシア伸長の要因は、何より戦略にある。

ウエルシア薬局
ウエルシア伸長の要因は、何より戦略にある

 ドラッグストア(DgS)企業の栄枯盛衰は激しい。ランキングも大きく変わっている。ちなみに2010年度のランキングは1位マツモトキヨシ(千葉県)、2位サンドラッグ(東京都)、3位カワチ薬品(栃木県)。それが21年最新版では1位ウエルシア、2位ツルハホールディングス(北海道)、3位コスモス薬品(福岡県)となっている。

 私がDgSという業態に出会ったのは1985年のことだ。すでに30年以上の月日が経っている。私はこの30年間を「ラッキービジネスの前半15年間」と「淘汰の後半15年間」と分けて考えている。

 前半15年間は、DgSが各地に登場したころであり、各都道府県にDgSは1社しかなかった。だから「ラッキービジネスの前半15年間」なのである。

 当時、主な競合店は零細なお薬屋さんだったので、DgSは店を出せば売れる時代だった。このころの成功法則が①安売り、②品揃え(ハウスキーピングニーズのワンストップショッピングストア)、③医薬品のプライベートブランド(PB)、④販売データの分析に基づく売場づくりであった。

 問題は後半15年間で、この4つの成功法則が通用しなくなったことだ。

 後半15年間になると、県境を越えて競合DgSが進出するようになる。つまりDgS同士の競合のはじまりである。DgSはナショナルブランド(NB)商品中心の品揃えであり、わが店も競合店も品揃えはほとんど同じである。つまり同質競争に陥りやすいといった宿命があった。とくに売れ筋商品に関してはほぼ同じなので、競合するとあっという間に安売り合戦に陥る。これが「淘汰の後半15年間」である。

 2000年を過ぎるあたりから、先に述べた4つの成功法則が通用しなくなった。成功法則の1つめの安売りだが、今ではDgSだけでなく、どの業態も安売りに注力している。

 成功法則の2つめの品揃えにしても、日本は卸売業が優秀なので品揃え(ハウスキーピングニーズのワンストップショッピングストア)は真似しやすい。今ではどこのDgSも似たような品揃えになっている。

 成功法則の3つめの医薬品のPBにしても、どこのDgSも似たようなアイテムを持っている。たとえば液体ムヒのPBはわが店にも競合店にもある。

 成功法則の4つめの販売データに基づく売場づくりにしても、テクノロジーの急速な進化と普及によって、どこのDgSもレベルが高い販売データの分析を行っている。そしてデータ分析すればするほど競合店とわが店は似てくる。結果、コスト削減競争と安売り競争しかなくなる。

 こうしたことから後半15年間でDgSの社数はどんどん減ったのである。注目すべきことは「淘汰の後半15年間」でウエルシア薬局は急伸した点である。そしてウエルシア急伸の理由が

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