ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営31 これからのSCが売上連動から「固定賃料」へ変わる必然とは
定期借家制度の登場が変えた 賃料契約のあり方
さらに、今回のテーマ「固定賃料化の必然」に大きく影響するのが「定期建物賃貸借契約(定借制度)」である。2000年に登場した定借制度は契約期間で確定的に契約は終了する。したがって営業継続には更新では無く再契約が必要となる。
2000年以前の普通借家契約は法定更新によって借家人から申し出が無い限り自動的に契約は更新した。賃貸人側からの更新拒絶には正当事由が必要であり契約期間はあって無いようなものだった。しかし2000年に定借制度が登場するとその関係は一変する。
定期借家制度では、一定の法律要件を満たせば契約は確実に終了する。そして、契約期間内の賃料増減額請求権も排除が可能となり、一度決めた賃料は契約期間内に変更できなくなったのである(もちろん民々協議は可能)。
定期借家制度は、契約自由の原則という近代社会の概念に近づき、再契約のたびに新規賃料を決めるタイミングを作り出したのである。
しかし、SC運営では、ここを理解しないまま歩合賃料とテナントコミュニケーションの発想を引きずることとなり、今があると言っても過言では無い。
普通借家制度は、将来に渡り契約が終了しないため、交渉が難しい賃料改定をせずとも賃料収入を増加させる仕組みをSCは構築していく。
それが固定変動制賃料、店舗巡回、テナントコミュニケーション、営業指導、接客ロープレなどの仕組みである。
しかし、定期借家制度では、営業継続には再契約が絶対必要であり、そのタイミングでそれまでの売上状況に応じた賃料改定が可能になったのである(図表2)。
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