ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営30 SCは「神社の参道商売」と一緒

西山貴仁(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)
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前回、ECやライブコマースは、「デジタル技術を活用した訪問販売」と定義した。要するに「待ちの商売」では無く、自らが顧客のところまで出掛けていく販売形態になったのだ。実はここに大きなポイントが隠されている。今回は、この「出掛けていく」をキーワードにリアル商業の方向性を考えていきたいと思う。

AsianDream/istock
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ECの利点とリアル商業の課題

 ECの利点を語る際、必ず指摘されることが「①時と場所を選ばず利用できること」だ。リアル店舗が朝10時に開店して20時に閉店するとする。顧客はその店舗側の都合に合わせて行動しなければならない。ECはこの不便さを解消したのである。

 その他にも②一般消費者(経験者)の評価コメント、③宅配、④比較購買、⑤非接触、と多くのメリットがある。中でも私が指摘したいのは、ライブコマースを含むECは、「我々のところにやってきてくれた」と言うことだ。

 自宅のリビングが売場になり、手の中のスマホが店頭になったのである。

 

 一方、リアルな場所(SCや百貨店など)へは、お客自らが行かなければならない。行くための時間を確保し、移動にはコストが掛かる。途中ストレスフルな出来事や交通事故などの身の危険にさらされることもあるだろう。それらを乗り越えて店舗に行ってもお目当ての商品があるとは限らず、時には不快な接客を経験する。

4Gが無くした地域間格差

 ECが飛躍的に便利になった背景には、スマホの通信技術の進歩が挙げられる。3Gの時代は低速で低容量の通信環境の中でECサイトは使いにくくストレスを感じることが多々あった。しかし、4Gからはストリーミング技術が進み、3Gで感じたストレスは大きく軽減され、その上、広範囲で利用可能となり地域間格差をもなくなった。そして、テレビ局のスタジオでは無く自宅で撮影したYouTube動画を瞬時に全国一斉に観ることが可能になった。88日に発表されたYouTuberのアパレルブランドが即日完売するような現象をもたらしたわけだ。

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