アパレル産業の新世界、生存方法はアマゾン・楽天・ヤフーの傘下入りかデジタル企業への変革だけ

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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社内からデジタルという言葉を廃止せよ

 まず、DX が進まない企業ほど、社内では、オムニチャネル、OMO、デジマ(デジタルマーケティング)など、流行用語の社内活用をしているが、これを禁止することをお勧めする。オールドタイプのビジネスモデルと技術をわけて語っているのは、私を含めた老人だけで、若者はすでにデジタルなど自分の生活の一部に溶け込みそこに境目はない。デジタルを特別と考えるから顧客を顧みない無駄な導入が進むのである。

 例えば、丸井グループは一昔前、「オムニチャネル」という言葉を社内で使うことを禁止した。彼らは、ひたすら「お客様を満足させるためにはどうしたらよいか」を考え、その考えを実現するためデジタル活用を自然に検討してたAmazon創業者のジェフ・ベゾスも同様で、「顧客を満足させるため、これまでできなかったことをひたすらデジタルを使って実現してきたらこのようなビジネスモデルになった」、と述べている。

 私は、クライアントサイドに立って、いわゆるデジタルベンダーの営業の場に立ち会うことが多い。だが、その提案はクライアントの問題解決をしようなどという気持ちの微塵も感じられず、クライアントが「こんなことができるのか」と尋ねると、複雑なパラメータ設定をやり「このように操作すればできますよ」と煙に巻く。今、世界の潮流は、「忙しいエグゼクティブが一瞬で理解できるUI (ユーザーから見た見え方)をできるだけ直感的に示す」ことにあり、まさに、アップルのiPhoneが世界中を席巻した理由はここにある。実務家にとって難解な操作は「見るだけで蕁麻疹が出る」というものなのだ。

 それなのにひどいUIの商品を企業に押し付けようとするのをみると、「あなた達(デジタルベンダー)の付加価値はなんなのか」と逆に聞きたいぐらいだ。それほどひどいベンダーが多い。結局、UIが難解だとエグゼクティブは「よくわからんから、お前がみておけ」と情報システムに丸投げし、業務改善に寄与しないシステムがあちこちに出来上がるわけだ。

 こうしたシステム開発は本質的に間違っている。極論をいえば、システムというのはクラウドに置き、お金周りが絡む基幹システムと、その前段階の営業支援システムがバリューチェーンごとにあればよい。あとは、ビッグデータと、それを分析するAIダッシュボードで終わりである。こうした俯瞰的ものの見方ができないから、つぎはぎだらけの使えないシステムが社内のあちこちにでき上がるわけだ。とくに、その営業支援系システムというのは、顧客満足度をどのように高められるのか、という最も根源的な問いから設計することが基本である。逆に言えば、「そのシステムをいれてどれだけ儲かるのか?」と何度も聞けば良い。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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