成功事例続々、導入企業急増のプロセスセンター ビジネスに変革もたらす「魔法の杖」にする方法

森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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補って余りあるメリット

 PCを導入するにしても「品質、味の面では『そこそこ』のレベルにしかならないのではないか。やはり店内加工こそ最上であるのは変わらない」と考える人もいるかもしれない。だが最近は、店内加工では難しかったことをPCで実現するケースも増えている。ここではそんな事例をいくつか紹介する。

 加工技術面で取り上げたいのはライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)。近畿圏の精肉向けPCでは「パーシャルフリージング」ができる設備を導入した。これにより肉を完全に凍らせるのではなく、マイナス3度で凍結させ美しくカットできるようになった。

 ラム肉の加工でも威力を発揮する。健康志向の高まりで需要が拡大する反面、肉質が柔らかくうまく切るのはベテラン技術者でも難しい。だがこの設備を使えば、簡単に薄切りも可能で、近畿圏全店で販売したところ好調に売れている。

 独自商品の開発でもPCをうまく活用しているケースとして、さとう(京都府/佐藤総二郎社長)を紹介する。同社では最近、精肉部門において自社PCで製造した冷凍牛肉を「大地のこくみ牛」というオリジナルブランドで展開。もちろん賞味期限が長く保存性は抜群。主通路沿いの冷蔵什器で販売するなど積極的に打ち出し、来店客からも好評を得る。

 この1~2年、仕入れ品を実験的に販売、好調を受けて内製化に踏み切った。同社では近年、PCや食品工場など店舗を支えるインフラを整備。それらを活用し差別化を図ることができる独自商品を増やしている。

 ほかにも某企業の魚総菜を担当するバイヤーから、PC活用のメリットを聞いた。「あじの南蛮漬けなどは前日から長時間、調味料に漬け込むため、店内加工よりも味が浸透する」と話していた。加工後、商品によっては急速冷凍すれば、味の劣化も防げるとのエピソードも教えてくれた。

 PCには弱点がある反面、店内加工を補って余りあるメリットがある。技術の進歩はめざましく、PCでできることはさらに広がるだろう。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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