「デジタル化と小売業の未来」#8 ワークマンが実店舗での返品対応を強化するワケ

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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デジタル化が進行し、ECでの買物が便利になることで実店舗の大量閉店がニュースでも多く見られるようになりました。米国では「アマゾン(Amazon.com)シフト」と呼ばれるほど、アマゾンの急成長が実店舗に与える影響が大きくなっています。そうしたなか、これまでの連載でも紹介したように、「体験型店舗」「倉庫型店舗」など実店舗ならではの優位性を生かし、デジタルと共存する実店舗が増えています。今回は実店舗が生き残るうえで、意外と見落とされがちな「実店舗の役割」についてご紹介しましょう。

SNSを活用した「デジタル接客」

 従来、アパレル業界では実店舗での接客が重視されてきました。実際にスタッフと相談しながら購入を判断できる点が顧客にとってのメリットだったのです。しかし、デジタル化の進行に伴い、消費者も事前に商品について調べるようになったため、相対的に実店舗でのスタッフによる接客の需要が低くなっているのが現状です。

アパレル業界ではデジタル接客の重要度が増している
アパレル業界ではデジタル接客の重要度が増している

 そうしたなか、スタッフの数を減らすか、知識教育・デジタル教育を行い、ウェブサイトやEC上などで商品の特徴やおすすめのコーディネートを紹介する「デジタル接客」への対応が必要になります。また、SNSの活用もすでに一部で始まっており、「Instagram」や「YouTube」を起点に店員自ら店舗や商品の紹介をする動きもみられます。もちろん年齢や性別などによりますが、若い人はInstagramをよく見ていますし、年配の方でもYouTubeくらいは見ていることが多いです。自分の店舗やブランドの客層に合わせながらツールを活用する必要があるでしょう。

 

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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