食品小売で一人負け 大手3社が進める「新しいコンビニ」ビジネスに迫る!
大手3社が既存店改革を猛スピードで実行
一方、国内CVSの成長はこのまま停滞してしまうのだろうか。
セブン-イレブンの永松文彦社長は「お客さまのニーズをつかむことさえできれば、成長の限界はない」と述べる。CVSはこれまで幾度も飽和市場といわれるなか、銀行ATMの設置や中食の強化など、新たな利用シーンを創出することで成長を遂げてきた。今回のコロナ禍の環境変化にも果敢に挑み、現状を打破する考えだ。
そうしたなか大手3社が猛スピードで進めているのが既存店改革だ。セブン-イレブンは21年2月期に家飲みニーズを取り込むべく酒類売場を拡大した新たな売場レイアウトを開発し、22年2月期中に約1万2000店への導入を完了させる。従来の画一的なフォーマットからの脱却もめざし、店舗の立地を大きく3パターンに分類し、立地に応じて品揃えを変化させる取り組みもスタートしている。
ローソンも22年2月期、「新しいCVSモデルの構築」を掲げて全国約500店での改装実験に乗り出している。ここで得られた成果を22年2月期中に5000店規模に波及させたい考えだ。同実験でとくに注力するのが食ニーズの深掘りだ。店内厨房による店内調理品「まちかど厨房」を現在の約6500店から約9000店まで拡大させて、商品開発や宣伝も強化し差別化を図る。
ファミリーマートも既存店を強化中で、新設した「店舗再生本部」のもと低収益店舗をいったん直営店化して“再生”する取り組みを進めている。
もう1つ新たな成長を可能にするべく、本格稼働を始めているのが店舗を拠点とした配送サービスだ。セブン-イレブンは17年から実験を重ねてきたサービス「セブン-イレブン ネットコンビニ」の導入店を、22年2月期に現在の約370店から約1000店へと拡大。スマホアプリを活用し、注文商品を半径500m圏内に最短30分で配送する利便性を提供する。ローソンは「ウーバーイーツ(UberEats)」をはじめフードデリバリープラットフォームと提携することで商品の配送サービスを一気に広げている。21年4月時点で28都道府県1500店以上でサービスを展開している。
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