「100年視野に働き甲斐ある会社めざす」5期連続で増収増益の平和堂=夏原平和社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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改装で業績が大幅伸長

──本拠の近畿圏以外の出店が増えていますが、今後の出店政策を教えてください。

夏平 重点エリアと位置付けているのは、関西では大阪府と京都府の京阪エリア、東海では愛知県です。いずれも競争は激しいのですが、当社の出店余地はまだ多いと見ています。

──愛知県以東も視野に入れているのでしょうか。

夏平 今は考えていません。愛知県といっても広く、当面は県内の各地でドミナント出店を進める方針です。昨年は、新たに春日井市へ進出、5月に「平和堂春日井宮町店」、11月に「平和堂春日井庄名店」の2店をオープンしました。12月には、名古屋市内に「平和堂ビバモール名古屋南店」が開業、これで愛知県内の店舗は16店、うち名古屋市内は5店となりました。

──新店の一方、近年は既存店改装にも力を入れていますね。

夏平 マーケットや競争環境は常に変化しており、全店舗のなかで優先順位をつけ、順次、計画を進めています。原則として5年経過すれば「小改装」、10年で「大改装」する方針です。16年2月度は13店のリニューアルを手掛けましたが、今後は年間20店を目標に、新店で成功した要素を既存店へも波及させ、競争力強化を図っていきます。

──リニューアルすれば業績はかなり改善するものですか。

夏平 古い店のなかには、大きく売上高を伸ばすケースも珍しくありません。最近では1995年オープンの「平和堂うぬま店」(岐阜県各務原市)を2015年10月に改装オープンしました。青果部門では、バナナやりんごといった特定の品種の品揃えを充実させる「マルシェ」コーナーを導入したほか、鮮魚部門では、産直鮮魚を充実、また「魚屋の寿司」を新たに販売するなどしました。近くに競合店が多い立地ですが、売上高は対前期比25~30%増と好調に推移しています。

 同様に「平和堂和わ邇に店」(滋賀県大津市)も、同年11月の改装後は同10~15%増となっています。他の店も、改装後は2桁以上の伸長率を示す店も多く、手応えを感じています。

──最新の品揃え、売場づくりにより競争力が強化されるのですね。

夏平 新しい要素を取り入れるだけでは不十分です。やはり店で働く従業員の意欲や姿勢も変化しなければ成果に結びつかず、ここでも「ピカピカ実現活動」は有効です。他店の成功事例を見聞きすることにより、ベテラン従業員も意識が変わるようです。今後も、既存店改装に加え、従業員の意欲を喚起する取り組みを続けることで、店舗網を強化する計画です。

 

愛知県春日井市の2号店となる「平和堂春日井庄名店」春日井庄名店の鮮魚部門には対面コーナーを導入 左: 愛知県春日井市の2号店となる「平和堂春日井庄名店」。青果部門では、産地にこだわった商品を充実させるほか、カラーコントロールも意識し、高質な買物空間をつくっている
右: 春日井庄名店の鮮魚部門には対面コーナーを導入、丸魚を充実させ、にぎわい感のある売場をつくっている

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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