アリババもウォルマートも! 中国で活発化する小型スーパー開発のねらい
ポイントは「ECとの連携」
コロナ禍に見舞われた20年に入ってからは、小型フォーマットを開発する動きが活発化しており、20年8月にはイオン(千葉県)が広州で、同9月には蘇寧カルフールが上海で、小型スーパーの1号店をそれぞれ出店している。
蘇寧カルフールの小型業態「Easy」は、低温物流の仕組みと顧客データ分析を駆使して、仕入れや物流にかかわるコストを抑えるとともに、店舗から3km圏内を対象にECで受注した商品を1時間以内に配送するサービスも実施している。イオンの「生鮮便利店」は、「盒馬mini」と同様に生鮮食品に特化した小型スーパー。同フォーマットでも宅配サービスを行っており、イオン中国のECアプリとJD(京東)傘下の「京東到家」から注文を受けた商品を、1km圏内であれば1時間以内に配送する。
大型店の出店余地減少を背景に、欧米や日本でも、都市部における小型店の展開が小売産業の潮流となってきた。イオングループが展開中の「まいばすけっと」「マルエツプチ」はその典型と言える。
だが、ECサービスとの連携という観点から見ると、欧米や日本ではそうした取り組みは大型店が中心であり、小型店ではほとんど進んでいないのが現状だ。それに対し、中国の小型フォーマットはECとの連携を主眼においているという点で一線を画している。
こうした流れは、大型店の出店が遅れ、EC普及が先行した中国市場ならではのものであるかもしれない。だが、海外流通に詳しい三井物産戦略研究所の高島勝秀氏は「脱コロナ後もECシフトが継続すると見られるなか、ECと連携した『社区生鮮店』の展開は、ネットとリアルを融合させる先駆的な取り組みとして注目に値する」と話す。
ECと連携した小型店はアフターコロナ・ウィズコロナ時代の小売のスタンダードとなり得るか。中国で静かに増殖中の「社区生鮮店」に注目だ。