柴田祐司社長が語る 新生イオン九州が進める「マイクロプロセスセンター戦略」とは?
──コロナ禍の景気低迷により、価格競争が激化していると。
柴田 そうです。九州はDSの“メッカ”ともいうべき有力DSがひしめくエリアですが、各社の価格攻勢がいっそう激しくなっているからです。今後、全国的にデフレの方向に進むものとみています。
──「この1~2年で行ったさまざまな取り組み」について教えてください。
柴田 1つが、18年から段階的に行ってきた「値下げ」です。DS発祥の地で戦うには、品ぞろえの拡充も大事ですが、一点単価を下げていくことがより重要です。「イオンは楽しいだけでなく、安い商品も多いよね」と評価いただける状態をつくらないと競争には勝てません。そこで、四半期に1回、数百~1000品目の一斉値下げを行い、この9月の「本気の値下げ1000品目」で10回目を迎えました。なお、今回からマックスバリュ店舗も加わりました。
統合後、各県に食品のバイヤーを配置
──社長就任以来、地域と一体化した商品開発も行ってきました。
柴田 ええ。それにより、イオン九州の店舗でなければ得られない体験や商品の開発・育成に取り組みました。
その最たる例が、宮崎県産ワインの新酒発表イベントです。5年前から4つのワイナリーに参加してもらい、ボジョレーヌーヴォーのように解禁日を一緒にして、新酒の発売を大いに祝い、プロモーションをするという「みやざきワインヌーヴォー」を始めました。当社がワインを買い取るので、ワイナリー側も安心してより良いワインの製造に専念することができます。
2~3年目には1カ月足らずで2万本近くを売り切りました。当社はボジョレーヌーヴォーを年間3万本ほど売りますが、それに匹敵する売上です。大きな地域貢献ができていると自負しています。
このように、モノがあふれている時代、商品にどう「ものがたり」をつけ、「うちでしか買えない」商品を開発できるかに注力しています。