連載 スーパーマーケットの2020 #1 ライフコーポレーション
アマゾンとのタッグでネットスーパーを展開
好業績の原動力となっているのは、既存店売上高の増加であることは間違いない。ただ、かねてより展開しているネットスーパー事業も業績に大きく寄与していると思われる。
ライフは19年9月にアマゾン ジャパン(東京)と提携し、店頭で扱う生鮮食品や総菜、プライベートブランド(PB)商品を宅配するネットスーパーサービスを開始している。
同サービスはアマゾンの有料会員向けの即時宅配サービス「PrimeNow(プライムナウ)」で利用することができる。利用客はプライムナウの専用アプリで注文、オーダーを受けたライフの従業員が店頭で商品をピッキングし、アマゾンの配達員が配送する仕組みだ。注文から最短2時間で商品を届けることができる。

同サービスは都内7区からスタートし、約1年を経過しようとしている現在は都内23区、都下4市を加えている。7月16日からは大阪市内16区でもサービス提供を開始、順調にエリアを拡大中だ。
コロナ禍に伴う巣篭もり消費の活発化により、食品スーパー各社のネットスーパーは一時期、「注文しても届くのは数日後」という状況となった。強固な物流網を持つアマゾンとの提携は、ライフにとって追い風となった格好だ。
ライフの岩崎社長は今年1月時点で、ネットスーパーは「(展開店舗のうち)20店が黒字化している」と発言している。巣篭もり消費という特需で、ネットスーパーにも思わぬ加速があったのは想像に難くない。
ビオラルがついに東京進出
今後の巣篭もり消費の行方は不透明だが、「一度でもネットスーパーの利便性を享受した消費者は継続して(ネットスーパーを)利用するようになる」(ある食品スーパーの幹部)と言われている。ネットスーパー市場の拡大は、サービス拡大中のライフにとって確実にプラス材料となるだろう。

さらにライフは、新たな店舗フォーマット構築も力を入れており、「Miniel(ミニエル)」という都心型の小型食品スーパーを大阪府内に開業。まだ実験的な要素が強いが、「BIO-RAL(ビオラル)」という自然派志向のスーパーの展開にも乗り出しており、今年は東京1号店を吉祥寺にオープンする予定だ。
足元の業績が好調に推移する中でも、次の成長に向けた布石も着々と打っているライフ。最大手の動向に業界の注目が集まっている。
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