コロナ禍で需要急増したネットスーパーの未来と課題とは?
ネットスーパーの未来
コロナ禍で需要急増! 持続的成長には課題も
新型コロナウイルスの拡大によって外出を自粛する消費者が増えるなか、利用を大きく伸ばしたのがネットスーパーだ。「必要なものを家まで届けてくれる」というネットスーパーの利便性があらためて認識され、年代を問わず幅広い顧客層から支持を集めている。その一方で、“大半が赤字”ともされる収益性の低さ、高まる需要をカバーしきれない配送インフラの脆弱性など解決すべき課題も山積している。
コロナ禍という「悪条件」がネットスーパーの追い風に
コロナ禍で生活者の在宅が増えた影響で、SM各社の販売が大きく伸長する一方、コンビニエンスストア(CVS)はオフィスワーカーが減った都心部でとくに苦戦が続くなど、業態によって明暗が大きく分かれている。こうしたなか、ネットスーパーはコロナ禍で“特需”が最も生じた業態と言えるだろう。4~5月にかけSM各社では既存店売上高が対前年同月比で10~20%増となったチェーンが目立ったが、筆者が関係者にヒアリングしたところ、ネットスーパー事業では同50%超の伸びを見せた事業者も少なくなかった。
元来、ネットスーパーは、店舗へ買物に出かける環境が「悪条件」になるほど、利用が活発になる傾向がある。年間のサイクルでは猛暑の時期(7~8月)や寒さが増す1~2月に受注が増えるほか、1日単位で見ても大雨や台風、降雪といった悪天候に見舞われるほど、注文件数が跳ね上がる。いわずもがな、ネットスーパー利用の大きなメリットは、「自宅で注文でき、商品を自宅まで届けてくれる」という点にある。今回のコロナ禍で、ネットスーパーの長所があらためて認識されたかたちだ。
図表❶は、筆者の研究協力先である某ネットスーパー(首都圏で展開)の利用データである。
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