豚骨ラーメン店「ラー麺ずんどう屋」が国内外で描く成長シナリオ

取材:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
構成:崔 順踊(リテールライター)

海外展開を機に新メニューを発売!

 ラー麺ずんどう屋は国内での成長と並行し、海外展開も推進している。244月には現地パートナーとジョイントベンチャーを立ち上げ、中国・上海に初進出。わずか1年間で5店舗を出店した。中国では、現地の食文化に合わせてメニューのローカライズを実施。看板商品の濃厚豚骨に加え、あっさりとした「清湯ラーメン」も提供している。

 この海外展開は国内事業にも好影響をもたらした。上海のパートナーからの要望をきっかけに、中国で人気の蘭州ラーメンに着想を得て、豚骨100%ながら透き通ったスープを持つ「淡麗豚骨らーめん」シリーズが誕生。「逆輸入」商品として国内3店舗で試験導入したところ、豚骨が苦手な層など新規顧客の獲得に成功した。売上構成比で20%を超える大ヒットとなり、259月時点では国内7店舗で提供されている。

「淡麗豚骨らーめん味玉」(980円)

ラー麺ずんどう屋の人材確保への取り組み

 他方、外食業界全体と同様に、ラー麺ずんどう屋でも人材不足と定着が課題となっている。こうした状況に対応するため、同社は244月からフィリピンからの特定技能ビザ(SSW)での採用を開始した。濵村氏自ら同国の首都マニラに赴いて面接を行い、現在は約40名がスープ工場や店舗で勤務している。今秋には50名体制に拡大する見込みだ。

 ZUNDでは採用した人材を「ラー麺ずんどう屋の仲間」として迎え入れ、一人一部屋の寮を提供するなど生活面でも支援している。こうした手厚い対応がフィリピン国内で評判となり、採用においては「人が人を呼ぶ」好循環が生まれているという。

 さらに、トリドールグループが掲げる「心的資本経営」の理念のもと、日本で経験を積んだ人材が将来的に母国での店舗立ち上げや運営に携わるといった「凱旋帰国」も視野に入れている。

 トリドールグループ傘下に入って約8年、同グループのリソースを生かしながら急成長を遂げてきたラー麺ずんどう屋。濵村氏は今後の展望として「国内500店舗、将来的には1000店舗」という意欲的な目標を掲げている。

 濵村氏は最後に「ラー麺ずんどう屋のおいしさを全国に、さらには世界中に届けたい。『世界で最も強いラーメンブランド』をめざし、各国でラー麺ずんどう屋というブランドを広め、世界で一番店舗数のあるラーメン店にしたい」と熱く語った。

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取材

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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