百貨店・松屋が人材育成事業に進出! デザイン×ビジネス融合型独自プログラムの中身

小内三奈
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150年の歴史を誇る老舗百貨店・松屋(東京都/古屋毅彦社長)が、新たなチャレンジとして人材育成に乗り出している。2024年にスタートさせた「FLAG(Future Leaders Academy in Ginza)」は、デザインとビジネスを融合させた独自プログラムで、次世代のリーダー育成をめざす。その背景には、長年日本のものづくり産業を支えてきた百貨店・松屋が持っていた強い危機感と、未来への責任感があった。同社経営企画部 新事業創造課の松島祐太氏に、FLAGに込めた想いと今後の展望について聞いた。

「人を育てる」は百貨店が果たすべき新たな使命

松屋人材育成グループワークの様子
グループワークの様子

 百貨店業界は昨今、デジタル化や消費行動の多様化により大きな変革を迫られている。そうしたなか、銀座と浅草に店舗を構える創業150年の老舗百貨店・松屋が、新規事業として人材育成事業に取り組むことを決めたのは2023年のことである。

 その背景について松島氏は、「150年にわたり、私たちは良い商品を仕入れてお客さまに販売してきたが、ものづくり産業の現場で起こっている作り手や後継者不足という深刻な課題に直面し、産業全体の未来に強い危機感を持っていた」と話す。

「今後も百貨店としての役割を果たしていくには、ただ商品を仕入れて売るだけでなく、作り手を含めた産業全体を底上げする必要がある。そのためには、日本をより良くしたい、地域を活性化させたいといった志を持つ人材を育てる必要性があると考えた」(松島氏)

 その想いを形にすべく、古屋社長自らが先頭に立ち人材育成プログラムの検討を始めた。しかし、松屋にとって教育は未経験の分野。そこで、マーケティングに精通する武井涼子氏(現・フェリス女学院大学副学長)に協力を仰ぎ、武井氏を中心に教育分野の有識者とともに構想を練り上げた。

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