豚骨ラーメン店「ラー麺ずんどう屋」が国内外で描く成長シナリオ

取材:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
構成:崔 順踊(リテールライター)

安定供給と品質を支える生産・物流体制

 店舗数の拡大をめざすうえでは、ラーメンの生命線であるスープの安定供給が不可欠だ。ラー麺ずんどう屋はこれまで姫路と大阪の2カ所にスープ工場を構えてきたが、255月には岐阜県坂祝(さかほぎ)町に新たな工場を稼働させた。これにより、中部や関東への輸送効率が大幅に向上した。

 また、麺は岡山と西脇(兵庫県)の工場で、チャーシューは姫路で製造するなど、主要食材ごとに専門工場を分散させているのも特徴だ。濵村氏は「各分野のプロフェッショナルが生産に責任を持つ体制と、大規模工場を一つに集約した場合の従業員確保の難しさを考慮した結果」と説明する。こうして生産された商品は、トリドールグループの物流網を活用し、効率的に各店舗へ配送されている。

25年5月から稼働を開始した岐阜県坂祝町にある工場

アプリ会員数は60万人を突破!

 国内での供給体制の基盤強化に加え、ラー麺ずんどう屋は、顧客との継続的な関係構築を重視する。その要となっているのが、会員数約60万人を抱える「ずんどう屋公式アプリ」だ。このアプリの主要機能の1つが、お得なクーポンの毎月配信。濵村氏は「毎月クーポンが届くからこそ、お客さまに使い続けていただける」と話し、定期的なクーポン発信でアプリの削除や会員の休眠化を防ぎ、再来店の促進やサイドメニューの販促につなげている。

「ずんどう屋公式アプリ」の会員数は約60万人

 さらに、利用金額に応じてランクが上がり、特典が充実する会員ランク制度も設けた。最上位のブラック会員には「元味らーめんが100円で食べられる」というインセンティブを用意し、熱心なファンのロイヤリティを一層高めている。

 

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取材

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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