アパレルのいまを全解説!GU、しまむらとシーインを比較してはいけない理由
好調アパレルと不調アパレルを分かつものとは?
「10月まで残暑」で業績どうなる?
Q3 好調アパレルと不調アパレルを分けているものは何か?
河合 ひと言で言えば「経営力の差」。「戦略の差」とも言い換えられます。
勝っている企業の戦略は経営のセオリーにきわめて忠実でシンプル、かつその戦略を徹底して実行しています。対して不調アパレルが抱えるもっとも大きな課題は「責任者が誰か不明」「キャッシュフローが読めない」「余剰在庫を放置している」の3つ。これらの課題を埋めるため、「社長がすべて自分でやっている」という創業時のまま組織を変えずに大きくなっており、沈没するときはみな一緒という具合に非常に危険な状態になっています。
ファンドはこうした実態を知らないため、社長の一極体制の理由とリスクをもっと知るべきです。なぜなら今は、30年に一度ぐらいしかない業界再編のチャンスだからです。
個人的には、マクロ的な動きとオペレーションのような現場の両方に精通したコンサルタントを使って改革を進めるべきだと考えますが、最近はコンサルタントの評判も悪くなり、アパレルもコンサルも自分達で勝手にやりたいように改革を進め、撃沈しているところが多いです。
Q4 2024年秋冬の見通しは?
河合 今年は、10月まで残暑が残りそうです。そうなると、各アパレルは余剰在庫で勝負をするしか手はなく、気温に沿った形のMDが組めているのかいないのかで成功するか否かは変わってきています。
また、商社は黙っていますが、円安のため生地の輸出で大儲けしており、死の淵にあるアパレルOEMの課題解決(注文から納品までの期間の長期化)を放置し、目的の不明確なデジタル投資を続けています。その結果、アパレルの調達期間はよりいっそう長期化し、このツケが25年春ぐらいから出てくるでしょう。注文から納品までの期間が長期化すればするほど、トレンドとズレが出てくるから、当てるのが難しくなるのは自明です。
Q5 秋冬以降注目のアパレル、業態、関連する企業は?
河合 今、ZOZOTOWNには、無名の素晴らしい企業がたくさん出店しています。彼らは、成長のための投資余力がないため、足踏みしていますが、日本のファンドが「アパレルなんてやめておけ」といっている間に、実は外資のファンドが狙いを定めています。おかげさまで、私は外資系企業から講演依頼などで引っ張りだこです。
河合拓氏の新刊、大好評発売中!
「知らなきゃいけないアパレルの話 ユニクロ、ZARA、シーイン新3極時代がくる!」
話題騒然のシーインの強さの秘密を解き明かす!!なぜ多くのアパレルは青色吐息でユニクロだけが盤石の世界一であり続けるのか!?誰も書かなかった不都合な真実と逆転戦略を明かす、新時代の羅針盤!
河合拓のアパレル改造論2024 の新着記事
-
2024/12/17
あなたはいくつ備える?AI時代に生き残るビジネスパーソン3つの条件とは -
2024/12/10
ワールドが三菱商事ファッション買収!進むアパレル垂直統合、2つの課題とは -
2024/12/03
ユニクロ柳井会長がウイグル綿花不使用発言に至った理由と影響、その複雑な背景とは -
2024/11/26
イタリア繊維産業に学ぶ、高くても売れるビジネスの秘密とは 染めと売り方が段違い -
2024/11/19
ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果 -
2024/11/12
アパレルは「個人売買」「古着」が、今後驚くほど拡大する理由
この連載の一覧はこちら [51記事]
ファーストリテイリング(ユニクロ)の記事ランキング
- 2024-09-03アローズにビームス…セレクトショップの未来とめざすべき新ビジネスとは
- 2023-08-28ユニクロと東レとのサステナブルな関係から生まれたリサイクルダウン
- 2024-01-02勝ち組はSPAではなく「無在庫型」へ 2024年のアパレル、5つの受け入れ難い真実とは
- 2021-03-05ビジネスは「一勝九敗」 ファーストリテイリングを世界的大企業に導いた“柳井哲学”
- 2024-11-16ファストリが3兆円突破!24年8月期決算で語られた今後の成長戦略
- 2021-05-04大丸、三越伊勢丹…誰も語れない百貨店分析 政府の施策が百貨店を殺す「本質的理由」
- 2021-05-18全産業中ワースト2位の不都合な真実、アパレル業界の環境破壊と人権問題を解決する方法
- 2022-01-11ZARAとユニクロだけがなぜ余剰在庫を撲滅できるのか?本人達も気づいていないメカニズムとは
- 2022-05-03ユニクロ独走の秘密は販管費にあるのに、原価削減を繰り返すアパレルの実態とは
- 2024-08-27好調アパレルに異変?在庫回転率悪化の複数要因とファストリ改善の理由
関連記事ランキング
- 2024-12-10ワールドが三菱商事ファッション買収!進むアパレル垂直統合、2つの課題とは
- 2024-11-26イタリア繊維産業に学ぶ、高くても売れるビジネスの秘密とは 染めと売り方が段違い
- 2024-12-03ユニクロ柳井会長がウイグル綿花不使用発言に至った理由と影響、その複雑な背景とは
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2024-11-19ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
- 2023-08-08EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販
- 2024-12-17あなたはいくつ備える?AI時代に生き残るビジネスパーソン3つの条件とは
- 2024-09-03アローズにビームス…セレクトショップの未来とめざすべき新ビジネスとは
- 2023-09-26無印良品の一部となる三菱商事ファッションとユニクロ:Cの成功が意味することとは