有人か、セルフか、レジレスか?レジの進化が行き着く先とは

宮川 耕平(日本食糧新聞社)
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顧客のレジ要望は3つ巴の論争か?

店舗が繁盛すればセルフレジにもレジ待ちは発生

 買い物途中に、携帯端末もしくはカート備え付けの機器で商品スキャンまで行えば、レジでの作業時間は大幅に短縮できます。その端末で決済まで済ませてしまえる仕組みもあり、そうなるとレジスペースそのものが不要のレジレスが実現します。

 レジレスも顧客自ら商品をスキャンする手間はセルフレジと変わりませんが、買い物途中に済ませることで、レジで他人のスキャンを待つ辛抱はなくなります。他人の決済を待つ時間までなくなれば、レジ待ちは完全消滅です。

 顧客にとってレジレスのメリットは大きいはずですが、セルフレジとレジレスを両方導入した場合、レジレスの利用率がセルフレジを上回るケースをまだ聞きません。ひとたびレジレスを体験すれば、もはや集中レジには戻れないと思うのですが……

 ベルクが3月下旬にスマホ端末のレジレスの仕組み「スマベルク」を中止した際、Xには「今さらレジには並べない」という利用者の投稿が増えました。ベルク公式X(エックス、旧ツイッター)では大型アップデートに向けた一時的な処置とあり、ユーザーはその復活を待っているようです。

 レジレス利用者はもはや後戻りできないと思う一方、商品満載のカゴを持って集中レジに向かう人たちは、「買い物途中にスキャンするなんて面倒くさいじゃない?」と考えます。レジに魂を縛られた人たちと、精算ニュータイプが分かりあうことは難しいかもしれません。これに現金派、キャッシュレス派の宗派闘争が入り混じり、また世代間の要求にも埋め難い溝がありそうです。

 顧客にとって、有人レジ・セルフレジ・レジレスのどれを選ぶかは、実質的に3択ではないかもしれません。私はレジレスがなければ有人レジです。商品を選び終わった後からスキャンを始めるセルフレジの選択肢は、ほぼないです。反対に、自分のスマホにアプリを入れて、決済情報まで紐付けして商品スキャンなんてありえないと考える人もいます。

 顧客から見た有人レジ、セルフレジ、レジレスの論争は3つ巴の様相で、容易に決着しそうにありません。だから先進的なチェーンはレジの3択を用意するわけですが、それでは投資もスペースも余計に必要になってしまいます。集約するなら、今はセルフレジが優勢ですが、今後はどうでしょうか。サポートが必要な高齢者の構成比は高まる一方ですし、レジレス派だって黙ってはいません。

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