ヤフー、ZOZO買収 会見で語られたこと 「EC事業でナンバーワンが視野に」
質疑応答
–前澤さんに聞く。ZOZO社長の辞任を決定した今の気持ちは?先ほどから言葉が詰まる場面もあったが、本当に後悔はないのか?
前澤 悩みまくりました。一部では無責任ではないかという意見が出ることも予想していました。ただ、本当の無責任とは、自分の権力や地位に甘んじて、会社の成長機会を逃し、自分の地位に安住することではないかと考えます。ZOZOはいま課題を持っており、その課題を解決するために今回の提携は素晴らしいものになります。これまでの私のトップダウンのある意味わがままな経営から、社員1人1人権限を持ち、あたかも1人1人が社長のように振る舞える、総合力を持った組織にならなければなりません。それによって、今以上の総合力を持った企業として、ZOZOはさらなる成長を遂げていく必要がある。そのための苦渋の決断でした。
「経営者は孤独である」とよく言われますが、私はこれまで、みんなで楽しく事業に勤しんで来れたので、「全然孤独ではないよ」と思っていました。ですが、今回、辞任するという決断を一人で悩んでいた時、ようやく「経営者は孤独なんだ」と痛感しました。
ーー改めて今回の提携に経緯について。(ソフトバンクグループの)孫正義社長から今回の提携について話があったとのことだが、時期はいつくらいのことだったのか。ヤフーと組むことについてどのように考えているか。
前澤 時間軸については正確性を欠くため明言を避けたいと思います。孫さんに相談したのは「もっとロックに生きたいんだ」「いかがわしくありたいんだ」ということ。そこに(ヤフー社長の)川邊さんを紹介されて(資本業務提携の)話が始まりました。
ヤフーさんとは結構前から協業をしていて、どういうふうにしたら盛り上がるとか、どうしていけば(取り組みが)深くなるのか、ということを議論していました。そうした経緯を踏まえ、今回しっかりとテーブルについて、資本業務提携についての具体的な話をしたという流れです。
孫さんの声がけによってヤフーさんと提携したという話ではありません。
川邊 以前、経営者などにインタビューする、Yahoo!JAPAN上の「令和の特集」という企画がありました。
そのなかで急遽、私が孫さんにインタビューすることになりました。孫さんはそこで「いかがわしくあれ」「平成の時代で失ってしまったのは日本のポジティブな意味での『いかがわしさ』」「月に行きたいなら行かせてやればいいじゃないか」といったメッセージを出されており、よほど前澤さんのことを気に入っているんだなと思いました。そうした経緯のなか、「今回前澤さんが人生の再スタートを切ろうということなので、ZOZO社と話をしてみたら」と孫さんから紹介を受けたかたちです。
実際、ZOZOとは前から提携していたのでシナジーがあることはわかっていました。当社には以前に一休との提携ををうまくいかせた自信もあります。
なお提携の話自体はそんなに前の話ではありません。ここ数カ月の話です。