セブン-イレブンが発表した新フォーマット コンビニ×スーパーの「新コンセプト店舗」とは

2023/03/13 05:55
大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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コロナ禍から起死回生
既存店売上高は過去最高!

 今回注目したいのが、国内コンビニ事業の成長戦略だ。

 新規事業として、コンビニ店舗からの即時配送サービス「7NOW」や、アプリ広告や購買データを活用した「リテールメディア」を強化する計画とともに、既存のコンビニ事業において新フォーマット店舗の展開を発表したのだ。

 まず、直近の国内コンビニ事業の動向を抑えておきたい。
 20年のコロナ感染拡大直後、外出自粛やリモートワークの普及によってコンビニの利用が大きく落ち込み、コンビニ各社の業績が低迷した。

 しかし、会見当日に言及された最新の22年度業績によると、「セブン-イレブン」の既存店売上高対前年度比は103.6%。これはコロナ前の水準を超え、01年以降で最高だという。

 1店当たりの稼ぐ力を示す既存店平均日販を見ても、19年度比で101.8%となっており、見事にコロナ禍の利用低迷から回復、再成長を果たしている。

業績回復の3つ要因

 「セブン-イレブン」がここまで業績を回復できた要因として、同社は大きく3つの要因を挙げる。

 1つ目は、レイアウト変更の実施だ。コロナ禍の、ワンストップショッピングニーズに対応するべく、冷凍食品をはじめ伸長カテゴリーのアイテム数を拡充し、それに応じて売場レイアウトを変更した。

 2つ目は、プライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の販売強化だ。ナショナルブランドの一斉値上げによって、相対的な価格優位性を高まったという。

 3つ目は店頭フェアを連続して開催していることが来店や商品の購買につながっている。

フェアの開催
積極的なフェアの開催が売上増に寄与している

 こうしたなか新たに発表したのが「新コンセプト店舗」の展開である。
 コンビニとスーパーストアを組み合わせた新型店舗で、「SIPストア」(S:セブン-イレブン、I:イトーヨーカ堂、P:パートナーシップの略)を略称としている。

 セブン-イレブン・ジャパン(東京都)の永松文彦社長は、SIPストア開発の背景について次のように述べている。

 「今のセブン-イレブンの店舗の大きさでは、お客さまのニーズに応えきれていない。これは昨日今日で構想したことではなく、かねてからワンフォーマットからの脱却し、地域に合わせた店舗の在り方が必要だと考えおり、今回のSIPストアの発表に至った」

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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