高齢社会を追い風に変え、「健康屋」で成長カーブを描く=ウエルシアHD 高田隆右 社長
5年後には中国で上場
──今後の拡大戦略についてはいかに考えていますか?
高田 当社のレギュラー店舗のプロトタイプは、郊外型で駐車場併設の売場面積250~300坪になります。ほとんどがこのタイプと言って過言ではありません。
しかしながら、高齢化の進展にともない都心回帰はどんどん進むでしょうから、30坪クラスの都市型店舗の開発にも着手しています。
今後2つのタイプを合わせて、1年間当たり合計店舗数(764店舗)の10%程度は出店していきたいところです。実際、今期は76店舗の新規出店を計画しています。
展開エリアについては、日本全国が視野に入っています。
今年6月1日に中国現地の合弁会社「聯華毎日鈴商業(上海)有限公司」を通して海外1号店「櫻工房南方ショッピングセンター店」を出店し、海外にも飛び出しています。中国へは現在2店舗を展開していますが、今年中に6店舗の展開になる予定です。5年後には上海市場への上場も考えています。
海外は、今後マレーシアのクアラルンプール辺りに拠点を設けて、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、スリランカ辺りへ進出することも考えられます。
M&Aの話は、いろいろありますが、業界が元気なだけにまだ切羽詰まったところは多くないようで、それほど進んでいません。企業規模としては、16年8月期に売上高5000億円、1500店舗という目標を掲げています。いまのところ自主拡大路線で4300億円までは見えています。
製造小売業にシフト
──他方、ドラッグストア業界全体に目を向けると、これまで多くの企業は郊外に大型店舗を続々と出店してきました。
高田 そうですね。そこに食品を大量に安く揃えて集客して売上を上げる、というモデルが圧倒的な強さを誇ってきましたが、これが変わってくる可能性があります。
実際、ドラッグストアの中には、デモグラフィックなどの変化を先取りして、大型店舗を見直す動きも出てきています。
──ウエルシアHDでも食品を結構扱っており、部門別売上高構成比は23.7%、粗利益率は21.3%という商売をしています。食品も強化部門になるのでしょうか?
高田 企業の展開エリアや沿革の中で、取扱いを増やしてきたという経緯はあります。その結果、当社は、「調剤も食品も強いドラッグストア」の地位を確固たるものにしてきました。
ただし、同業各社のほとんどが食品に力を入れ始めた中にあって、食品が今後も永続的に差別化できる部門になりえるとは考えていません。