PBはサイトの消費者の声でリニューアル=ヨークベニマル 大高善興 社長
08年からは店舗開発部隊も統合して、ヨークマートは計画を上回る新規出店をしています。09年10月にオープンした東道野辺店は、既存店を移転 増床したのですが、開店以来、売上は対前年比30%増と好調に推移しています。この3年間でヨークマートの経営数値も改善が進み、経常利益率は3%に上 がっています。今後は早い時期にこれを4%まで引き上げたいと考えています。
しかし、店舗デザインを統一したといっても、南東北を地盤とするヨークベニマルと、首都圏を地盤とするヨークマートでは、コストや収益の構造が まったく異なります。とくに、家賃や人件費には大きな差があります。また、商圏特性もちがいますから、当然MD(商品政策)、ターゲット、客層もちがって きます。ですから、今後はヨークマートも新店を出しながら、きちんと利益を出せる、独自の新フォーマットをつくっていきます。共有できるものは共有してス ケールメリットを追求していきますが、フォーマットはそれぞれでつくって自立していかなければなりません。
シェルガーデンの新店もサポート
──セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武(東京都/山下國夫社長)の子会社であるシェルガーデンの新店づくりも支援しています。
大高 10月23日に、西武渋谷店(東京都渋谷区)の地下の食品売場を全面改装して、シェルガーデン(東京都/飯田晴雄社長)の「ザ・ガーデンプラス」がオープンしました。
今まで同店の地下は何をやってもうまくいかず、09年5月にどうしたらいいかと相談を受けました。従来のデパ地下は高級品が中心で、たとえば、お 客さまが今晩はすき焼きにしようと思ったら、専門店をいくつか回って、買物に長時間かかってしまって不便でした。そこで、もっと日常的な暮らしに役立つ、 メニュー提案がきちんとできるSMにしたらいいのではないかと提案しました。ベーシック商品にワンランク上のベターゾーンの商品を足した、新しいコンセプ トのシェルガーデンとして、「ザ・ガーデンプラス」という店名にしました。
地下全体の売場面積は約500坪ありますが、そのうちの300坪をSMにして、残り200坪にパン、スイーツなどの専門店を導入しました。SMの 店舗運営は、グループのイトーヨーカ堂(東京都/亀井淳社長)とヨークベニマルが応援しています。イトーヨーカ堂から青果、精肉、総菜部門、そして、ヨー クベニマルからは加工食品とデイリー部門にそれぞれスタッフを派遣しています。まさにグループ3社が共同でつくった、首都圏における新しいSMです。
最初は品揃えの比率をベーシック8対ベター2にしました。しかし、オープン後の動向を見ると、それでは商圏に合わないので修正して、今はもっとベターゾーンの商品を増やしています。
私もはじめて都心の店づくりをして、あらためてヨークベニマルとのちがいに驚きました。たとえば、「ザ・ガーデンプラス」では1本98円のバナナ がよく売れ、1房98円のバナナはほとんど売れません。また、豆腐や1リットルの牛乳、野菜の土物、3食入りのラーメンなども売れません。今後もお客さま の声を聞きながら、いろいろ手直ししていく予定です。私も週1回、店舗を見ていますが、現場の人間でなければわかりませんから、こちらもヨークマートと同 様、最終的にどんな店舗にしていくかは、シェルガーデンが独自に決めていきます。
また、西武池袋本店(東京都豊島区)の食品館の改装にも協力し、地下2階の生鮮ゾーンと地下1階の総菜専門店の部分を大幅に変えて、11月28日 に改装オープンしました。生鮮は従来のベターゾーンとベストゾーンの品揃えに、ベーシックも加えて、客層拡大をねらいます。牛肉ならば、100g98円の 輸入牛まで扱っています。また、総菜専門店も入れ替えて、日常的に買える価格帯の店を揃えました。グループのシナジー効果を生かして、西武の新しい方向性 を示した売場になりました。