売価を引き下げることで買い上げ点数を上げ、地域シェアを高める=カスミ石原俊明 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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──お客さま目線を持つ、ということを実践するのはなかなか難しいことのように感じられます。

石原 何よりも、お客さまに「いいね!」と言っていただけることをどんどん積み重ねていくことに尽きるのではないでしょうか。それは商売の原点と言ってもよいかもしれません。商品化の丁寧さや、お客さまに正直に見せる陳列、そして値ごろ感という生活の豊かさに直結する価格づくりが重要です。

相場に関係なく、生鮮食品は上限売価を設ける

──その価格の話ですが、ディスカウントストア(DS)業態のフードオフストッカーの店舗数も増えていますし、4000品目の値下げなども実施されています。カスミさんは低価格路線へと軸足を移しているのでしょうか。

石原 低価格路線というのは、ただ安い商品を安く売るだけなのです。当社はそうではありません。今までお客さまにご支持いただいていた商品を、常に、お客さまの財布の中身と合うかたちで、価格を抑えて販売し続けようということを行っているのです。単純な低価格でお客さまを呼び込むのではなく、「値ごろ感とは何か」をもう一度、見つめ直したのです。それを当社では、“1円共感”と言っています。1円の大切さをお客さまと共感すること、そして1円でも安く提供することをミッションにしています。

 その値引きの原資として、商品の絞り込みによってロットを増大化し、仕入れ条件をよくする、人時生産性を上げる取り組みによって削減したコストを売価に反映させる、ということを地道にやってきたわけです。

──安さではなく、値ごろなのですね。まず品質ありきで、そして値ごろ感を出すために、お客さまに「安いね」と思っていただける価格をつけるということですね。

石原 そういうことです。われわれは、売価を引き下げることで、買い上げ点数を上げ、地域シェアを高めていこうという戦略なのです。単品買いではなく、毎日のおかずトータルを買っていただこう、お買物トータルでお客さまにご支持いただこうという取り組みです。

 それを、さらに進化させようという施策が、買物曜日の明確化、わかりやすく言えば、曜日別販促の強化です。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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