U.S.M.H21年度決算速報!藤田元宏社長が強調した「OMO実現」のための道筋とは
「阻害因子を徹底的に排除する」 藤田社長がEC事業強化の道筋に言及
目下、食品小売業界で大きな懸念材料となっているのが、原材料や物流費の高騰に伴う商品価格の値上がり。これについて藤田社長は「原材料の価格が上がるのだから値上げはやむなし、とインフレを是認する風潮が(業界内で)強い。しかし、食を担うわれわれとしてはできるだけ適正な価格、買いやすい価格を実現するため、これまで以上に努力していかなければならない」と強調。そのうえで、サプライチェーンの上流に踏み込むことの重要性を訴えた。その一方で、「コロナ禍で嗜好の多様化がより進んでいる。食卓を”デザイン”するという、これまで異なるMDの領域にSMは進んでいかなければならない」とした。
他方、U.S.M.Hとして重点課題の1つに挙げるのがEC・ネットスーパーの「オンラインデリバリー」事業の拡大。藤田社長はこれを実現するために大きく3つの考え方・取り組みがカギになると指摘した。発言を整理すると次のようなものだ。
①店舗機能にアドオン(付加)される機能としてのECを考えてもしょうがない。事業ポートフォリオのなかでしっかりと1つの核になる事業――まずめざすべきは年商12~13億円の規模感で、さらにこれを早期に5倍、6倍の水準にしなければならない
②”身内”のいろんな事情でEC事業に力を入れ切れていない阻害因子がいくつかあり、これを徹底的に排除する
③上記の取り組みを推進しながらOMO(オンラインとオフラインの融合)を実現するまでの道筋を明確に描いていく
②で言う”身内”というのがU.S.M.Hを指すのか、イオングループ全体を意味しているのかが気になるところだ。どちらにしても、阻害因子とまで言い切るほど明確な足かせが顕在化しているということになる。その壁を崩して、真の意味でのOMOを実現できるか。U.S.M.Hにとっては、目先の業績と同程度、あるいはそれ以上に重要なミッションとなっているようだ。