そごう・西武、イトーヨーカ堂のゆくえを井阪社長が言及! セブン&アイ2022年決算解説
スーパーストア、百貨店は苦戦続く
祖業の総合スーパー(GMS)のイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)、東北地盤の食品スーパー企業ヨークベニマル(福島県/真船幸夫社長)、首都圏でスーパーを展開するヨーク(東京都/大竹正人社長)などからなる「スーパーストア事業」では、営業収益が前期から横ばいの1兆8107億円、営業利益が同36.7減の187億円だった。
このうち主要事業会社の業績を見ていくと、イトーヨーカ堂は営業収益が同1.2%減の1兆675億円と減収、営業利益も16億円と低水準でなんとか黒字を維持したという格好となっている。ヨークベニマルもコロナ特需の反動を受け、営業収益は4781億円と横ばいだったものの、営業利益は147億円と同11.1%減と減益となっている。
そごう・西武(東京都/林拓二社長)を含む「百貨店・専門店事業」も営業収益こそ同4.0%増と前期を上回ったものの、81億円の営業赤字を計上している。
事業ポートフォリオ見直しでそごう・西武はどうなる?
さてセブン&アイは決算発表と同日に、株主をはじめとしたステークホルダーに向けて「世界トップクラスのグローバル流通グループへの進化を目指して」と題した経営メッセージを発信している。
セブン&アイの経営を巡っては、22年2月に米投資会社のバリューアクト・キャピタルがそごう・西武の売却、イトーヨーカ堂の売却・スピンオフを提案する公開書簡を発表。“稼ぎ頭”であるコンビニ事業に経営資源を集中させるよう、事業ポートフォリオの見直しを迫っている。
セブン&アイの井阪社長はメッセージ発信の背景について「当社は22年に入ってから、社外取締役も交えながら株主との面談を重ねてきた。その結果を踏まえ、改めて当社の経営の現状にご理解をいただくためにこのようなメッセージ発信に至った」と話す。
注目されるのはそごう・西武、イトーヨーカ堂についての方針だが、同メッセージでは「事業ポートフォリオの見直しと最適運営に向けたアクションの加速」(資料より)を進めていくとし、そごう・西武については、「構造改革を進めながら、並行してベストオーナーを探すことも検討していく」(井阪社長)とのことで、初めて公式に売却の可能性を示唆した。
そごう・西武では現在、ファイナンシャルアドバイザーを起用し、「ストラテジック・レビュー」(事業の戦略的見直し)を実施しているとのことだが、条件さえ整えば売却に至る可能性が高そうだ。