第37回 安易なコト消費の前に知っておきたい!これからの時代に「コトからモノへ」が大事な理由
コトを作る方法
とは言え、なかなかこれまでの商売の方法を変えられない人達のために一つだけアイディアがある。それは「コトを作る」ことである。例えば土用の丑の日にウナギを食べる習慣がある。特にこの時期、うなぎが美味くなるわけでは無く江戸時代に作られた夏バテ防止キャンペーンである。節分に食べる恵方巻き、これも一部の地域の習慣を広めたものだ。「酒は百薬の長」この言葉でどれほど酒が売れてきただろう。こういったことがコトを作り出した好例である。
今、店頭では行われているのはブラックフライデー。日本人がこの習慣にどれほど反応するのかは分からないが、とにかく、消費者の心が動く(踊る)ものを作り出すしかない。プロ野球の優勝セールなどその典型である。「コトを捕まえ、モノを作る」これがモノを売る真っ当な手段に他ならない。事業者視点で「MD:何を売るか、販促:どう売るか、接客:売り込む」ではなく、今の季節、時期、社会において「何が求められているのか」を考えれば、そこに消費者が持つコトがあるはずである。
モノを売るためには、必ずコトが先にある。これが「コトからモノへ」を主張する所以である。
西山貴仁
株式会社SC&パートナーズ 代表取締役
東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒
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