【イオン】モノからコトへのシフト進む 次世代型モールの最新モデルがオープン

2013/04/17 12:00
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「モノ(物販)からコト(サービス)へ」を戦略の柱に据えるイオン(千葉県/岡田元也社長)。その最新成果を盛り込んだ「イオンモールつくば」(茨城県つくば市)が、3月15日にオープンした。ペット同伴で楽しめるスペース、ガーデニング・エクステリアの展示型ショップといった新しい仕掛けは、ホームセンター(HC)にとっても目が離せない。
取材・文=野澤正毅

 

おもちゃで遊びを体験できるコーナー

 

 イオンモールつくばは、敷地面積約20万平方メートル、延床面積約10万5000平方メートル(うち総賃貸面積約6万4000平方メートル)に及ぶ大型ショッピングモール。直営総合スーパー(GMS)「イオンつくば店」を核店舗として、約200のテナントを誘致した。特徴は、「イーストビレッジ」「ウエストビレッジ」と名付けたオープンモール型の外部棟(延床面積約4000平方メートル)を、モール棟の東西に配置していること。「イオンのモールでは、初めてのスタイル」(岡崎双一イオンモール社長)という。

 

 基本商圏(クルマで30分以内)の人口は約63万人。商圏の中心であるつくば市は、研究機関や教育機関が集中しているほか、都心のベッドタウンとしても急速に発展している。20~39歳の人口構成比は30.8%で、全国平均よりも約5ポイント高く、人口増加率も全国平均を約8ポイント上回るという。今どき珍しく、若い世代が多いエリアだ。商品構成やサービス内容も、ニューファミリー向けを強化している。

 

 GMSの住居用品フロアでは、ニューファミリーのニーズが高いことから、がん具売場を拡充。子どもが実際に、おもちゃを使って遊びを体験できる「タッチ&トライ」コーナーを設けた。また、リフォームの相談に応じる「住まいのリフォーム」コーナーを展開するなど、“コト”の提案に力を入れる。新型化粧品コーナー「ビューティーラウンジ」は自社最大級で、顧客の要望に応じて、さまざまな化粧品のカウンセリングを行うコンシェルジュカウンターも導入した。

 

 モール棟では、大人の趣味に対応する「カルチャーゾーン」に、文房具・生活雑貨の「R・O・U」、手芸用品の「パンドラハウス」、「未来屋書店」といった直営及びグループの大型専門店を集積。料理教室などの関連サービスも提供する。

 

 ウエストビレッジには、ドッグラン、ドッグカフェを備えたベーカリー&レストラン「ペニーレイン」をオープン、ペット好きの人を引きつける作戦だ。モール棟の「イオンペット」とも近接しており、ペットを連れて、そのままモール棟に入ることができる。そのほか、フットサルコートや屋外イベントスペースも設けた。

 

 イーストビレッジには、直営サイクルショップ「イオンバイク」の路面店タイプを開設。自転車約400品目、パーツやウエアなどサイクリング関連グッズ約1200品目を揃えた。今後は物販だけでなく、「ツーリングの企画、募集も店舗で行い、新しい需要を掘り起こしたい」(岡崎氏)という。また、ガーデニングやエクステリアの具体例を展示する専門ショップ「つくばガーデン」も初出店。これは、モールでは珍しい業態といえる。

 

 岡崎氏は、自ら「次世代型モールとしては未完」と評するが、サービス機能は着実に進化している。絶大な集客力を誇るモールが、住居関連で新しい品揃え、サービスを打ち出してくれば、HCにとっても大いなる脅威となるだろう。

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