「プチDIY女性に広がる」生活防衛意識を刺激する情報系番組をチェック!

2012/10/15 08:00
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「家計調査報告」(総務省)によると、2011年の2人以上世帯の月平均消費支出の前年比は名目2.5%、実質2.2%のマイナスだった。金額ベースでは、02年からの10年で月額2万円以上少なくなった。厳しい家計を反映して、あまりお金をかけずに自分らしい部屋をつくる「プチDIY」が脚光を浴びている。

取材・文=兵藤雄之

 

HCは暮らしのヒントの舞台

 

 長引く景気の低迷、将来に対する不安から、どの家計でも、買い控えや生活防衛の意識が強くなっている。

 

 そうした消費マインドの中、少しでもお金を使ってもらいたいという狙いから、「大げさでなく、ほんのちょっと何かをしてみよう」といった意味での、“プチ○○”という表現がCMなどでよく使われるようになった。「プチ贅沢」「プチ飲み」「プチプレ(プレゼント)」等々だ。お金をあまりかけず、一工夫して好みに合わせた部屋づくりをするという「プチDIY」なる使われ方もある。

 

 ここ最近、主婦層やシングルをターゲットにする情報系のテレビ番組では、節電や節約ネタも含め、しばしばこの手の情報が流されている(主な番組は表参照)。巨大ホームセンター(HC)そのものが取り上げられ、HCで手に入る生活便利グッズを紹介するという番組もあれば、たとえば、HCで簡単に購入できる材料を使ってどこの家庭にもあるようなイスを「子どもの猫背矯正用のイスにする」という、暮らしのヒント的な情報として流されるものもある。最近では、DIY好きを公言する女性タレントが、番組内でその腕前を披露するということもある。

 

 

新規顧客に買い場を提供するという意識が必要

 

 いま「歴女(歴史オタクな女性)」や「鉄女(鉄道オタクな女性)」などのように、元来、男性が圧倒的に多いと思われていた趣味の世界に一大勢力を築く女性たちの存在が注目を集めている。新しいマーケットの創造にもつながるからだ。DIYもそのジャンルのひとつと考えられている。「力仕事が苦手な女子や、工具の使い方がわからない初心者の人でも気軽に楽しめる、新しいDIYのスタイルを提案するサイト」をキャッチに、衣料や雑貨を中心に扱う通販企業のフェリシモ(兵庫県/矢崎和彦社長)が運営する「フェリシモ 女子DIY部」、現在部員385名を数える「DIY女子部」をはじめ、「DIY女子」が活躍する場が増えている。

 

 フェリシモ女子DIY部で活動するBさんは「女性が行うDIYというのは、(日曜大工の延長にある)男性目線とはまったく違い、趣味趣向はもちろん、やり方、楽しみ方にも個性があります。テレビ番組などを通じ、さまざまなかたちで取り上げられるDIY関連情報は、自分の好みに合うものであれば積極的に活用しています」という。

 

 かつて、ある生活情報番組で取り上げられると、その翌日には、関連する食材が食品スーパー(SM)の棚から消えるという現象がしばしば起こった。SM側でも、その番組内容を見越して売場づくりを展開し、消費者の買い物マインドをよりいっそう刺激していたということもあるだろう。

 

 それに対して現在のHCはどうだろう。HCが扱う商品の特性から、テレビで取り上げられたといっても、即購入にはつながりにくい、と考えることもできる。しかし、だからといってテレビでの紹介効果を活用しない手はないはずだ。

 

 商品がうず高く積まれた店内にもかかわらず、成長し続けるあるディスカウントストア大手の経営者はこう言ったという。「店内は(商品の)売場ではなく、(お客さんの)買い場である」。そうした発想が現場に徹底されているからこそ、いまだに顧客から根強い支持を受けているのに違いない。

 

 扱うアイテムは大きさも種類も多種多様、プロ仕様のものも扱っているのがHCの売場。通い慣れた人には心地のよい空間だろうが、初めて訪れる人にはどう映るのだろう。少なくとも、テレビの紹介番組を見て足を運ぶという新規のお客さんに対しては、「買い場」の提供という意識が必要なのではないだろうか。

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