第76回低糖質の食生活外食で注目度が増す「低糖質」糖質に配慮した商材の訴求に好機

2014/01/15 10:00
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 お腹いっぱい食べても太りにくいとして、昨今、関心を集めているのが、「低糖質」や「糖質制限」、「ローカーボ」といったキーワードで語られる食事法だ。砂糖はもちろん、米や小麦、芋類など糖質を多く含む食品をなるべく使わない一方で、糖質が少ない魚や肉、乳製品などは積極的に食べてもよいとされるもの。

 

 ダイエットなどを目的に自宅で実践している人が、外食時にも低糖質の食事ができるようにということから、飲食店にもジワリと拡大しており、糖質制限をコンセプトにした中国料理店「梅包(メイパオ)」(東京・新橋)や、カフェ&バーの「マジコ」(東京・自由が丘)、糖質制限コース(昼5250円、夜1万2600円)を提供するイタリアン「ボタニカ」(東京・六本木)などが話題になっている。

 

 2013年2月にオープンした東京・赤坂の地中海レストラン「Amite」(40坪47席)もそのひとつ。人気の高い月替わりのコースメニュー(5250円)は、合鴨のハムや牛肉のカルパッチョ、アンコウと鮟肝のミルフィーユ、仔牛のフィレのステーキなど、驚くほど華やかで豪華な料理を楽しめるが、全6品で糖質合計量がわずか20~25gに抑えられている。これは、茶碗一杯分のごはんの糖質の半分程度だ。

 

 糖質が多い食べ物については、パンはふすま粉(小麦の外皮)によるふすまパンを用意し、パスタは小麦の量を半分にして食物繊維を組み合わせるなど、随所に工夫を凝らしている。スイーツなど甘味が必要なものは、人工甘味料を代用。ワインも、低糖質のものを揃える徹底ぶりだ。

 

 豆乳やおからを使ったダイエットクッキーの販売や、パーソナルトレーニングジム「ライザップ」を展開する健康コーポレーション(東京都新宿区、瀬戸健社長)を親会社に持つ健康フードサービス(同)が同店を運営していて、「グループのジムでの食事指導で、糖質制限を取り入れており、効果が期待できると実感したことから、ビジネスとして成長性があると判断し、より多くの人に情報発信ができるレストランという形で開業した」と健康フードサービス開発部部長の東前幸治氏は説明する。

 

 目的来店する人が中心だが、普通のレストランだと思って訪れ、初めてこの食事法を知って興味を持つというケースも多いという。昼は女性客が目立つが、夜は男性客も少なくない。中には、週1回ペースで来店するリピーターもいるほどだ。1日の来店客数は50~70人前後で、今後は低糖質をコンセプトにした店舗展開も視野に入れているとのこと。

 

 健康は自分で守るという意識が高まるなか、低糖質をうたった飲食店が増えると、それまでこの食事法を知らなかった人の認知が広がり、食生活の選択肢のひとつとして定着する可能性を秘めている。

 

 ヘルス&ビューティケアの拠点であり、食品の取り扱いが広がっているドラッグストアでも、「糖質が気になる人に」などのキャッチコピーで目を引き、糖質に配慮した商品を集積したり、プロモーション展開したりするのも一案だ。

 

 すでにおなじみの商品としては、「アサヒスタイルフリー」、「キリンゼロ〈生〉」など糖質ゼロの発泡酒や、缶コーヒー「ワンダゼロマックス」などの糖類ゼロの飲料がある。そのほかにも、日本ハム(大阪市、竹添昇社長)の糖質を含まないロースハムやあらびきウインナー、ベーコンなどをラインアップした「新鮮生活糖質ゼロシリーズ」があり、同社によると、「健康志向の強い人を中心に順調に推移している」という。

 

 欲している人は買い続ける意志が明確な商材で、リピーターが見込めるという利点がある。また、ナッツ類や大豆製品など、糖質の低さを訴求していなくても低糖質の食材は意外と多く、POPで情報発信するのもよさそうだ。

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