第73回【薬樹】活躍の場が広がる管理栄養士webサイトで情報発信

2013/09/18 00:00
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 関東で保険調剤薬局148店舗を展開する薬樹(神奈川県大和市・小森雄太社長)は7月1日、管理栄養士のwebサイト「薬樹 管理栄養士 ~for healthy living~」をオープンした。

 

 サイトでは同社の管理栄養士の取り組みを詳しく紹介するとともに、レシピ、イベント情報なども掲載。レシピは毎週新しく発表しており、それを楽しみに閲覧する人もいるという。管理栄養士一人ひとりの活動を紹介するインタビューも毎月更新するなど、さらに内容を充実させていく。

 

 国家資格を持ち、栄養指導や食事管理などを行う管理栄養士は、ドラッグストアや調剤薬局にも活動の場が広がっている。

 

 薬樹がその力を活用しはじめたのは、6年ほど前のこと。2009年には、地域密着型の「健康ナビゲーター」との理念のもと、新業態「健ナビ薬局」をオープンした。めざしたのは、処方箋がなくてもいつでも来られる薬局で、体成分分析機器や食事分析システムも設置。このとき、薬剤師と協力して健康をサポートする、もう一つの専門家として白羽の矢が立ったのが、管理栄養士だった。

 

 現在、同社の管理栄養士は36人。健ナビ薬局全11店、訪問介護の拠点「訪問健ナビ薬局」全3店など、計十数店舗に各1~3人が配属されている。仕事には最新の医療・健康情報やコミュニケーションスキルが求められるが、本部にはチームリーダーがいて、毎月スキルアップ研修を開くなど支援態勢を整えている。

 

 店舗では、薬剤師と連携して患者に食事指導をしたり、調剤の待ち時間などに声をかけて健康アドバイスを行うほか、分析機器を利用した健康相談やメタボ対策のコース、献立サポートといった、有料サービスもある。また、無料の栄養講座や健康相談会は、薬局のサービスを体験し、薬だけではなく、生活全般のサポートが受けられる場であることを、実感してもらう機会でもある。何らかのかたちで管理栄養士のアドバイスを受けると、その後「○○さんがいるから」と、リピーターになる顧客は多い。

 

 これら共通の業務のほか、一人ひとりが、地域の自治体や企業などと協力して特色ある活動を行っているのも特徴だ。近隣のスポーツジムでの栄養相談会、昭和大学病院での公開講座、また地元FMの番組でコーナーを持つ、管理栄養士もいる。情報は全員で共有し、良いものは取り入れ、さらに地域に合わせて発展させることで、サービスを充実させてきた。

 

 たとえば、毎月各店舗で開かれている栄養講座は、「健ナビ薬局古市場」の管理栄養士・小笠原舞美さんから広まった活動だ。きっかけは、地元老人会での出張講座のレシピを店頭に置いてみたら反響が良かったこと、そして東日本大震災の経験から、地域コミュニティの大切さを実感したこと。とくに古市場周辺は一人暮らしの高齢者も多いエリアだけに、店舗で講座を開くことで、交流の場や気軽に相談できる場をつくりたいと考えたのだ。

 

 そんななかで薬局の使われ方も変わりつつあり、同薬局は今、顧客が何気ない相談に来たり、待ち合わせ場所に使うなど、ちょっとしたコミュニティーセンターのような存在になっている。

 

 薬樹の管理栄養士はほかにも、一部地域で在宅訪問栄養指導を担当したり、東日本大震災の際は被災地に行き、支援を行うなど、さまざまに活躍している。

 

 今年2月には、それまでの1万3000人以上のヘルスチェックの経験からレシピ本『薬局の管理栄養士が考えた健康ごはん』(PHP研究所)を出版。今回webサイトを開設したのは、その反響として、同社の管理栄養士について問い合わせが相次いだためだ。薬局の管理栄養士をもっと知ってほしい、一人ひとりの思いを伝えたい。webサイトにはそんな気持ちが込められている。

 

 日々病気と向き合う薬局の管理栄養士のスキルは、特殊技術ともいえる。それを生かし、ほかにもどのような展開ができるか、薬樹ではさらに模索を続けていく。

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