第58回「オトコネイル」「身だしなみ」と「癒やし」で訴求する男性専門ネイルサロン

2012/11/16 12:00
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 ネイルケアといえば、色とりどりのネイルカラーやジェルを使って、色柄を施して指先を美しく装うことができ、女性のためのものというイメージが強いが、昨今は、指先がキレイに整った男性ビジネスマンも、じわりと増えている。ネイルサロンでも時折、爪のケアをしてもらっているビジネスマン風の男性の姿を見掛けるようになったが、どうしても女性向けの空間のため、やや居心地が悪そうな印象を受ける。

 

 そこで、オトナの男性が身だしなみのために爪の手入れをできる空間がないことに着目して立ち上げたのが、東京・市ヶ谷の男性専用ネイルサロン「オトコネイル」だ。運営するクレヨンソフト(東京都千代田区、中間優社長)の坂下隆子さんは、「爪をキレイにしている年配男性が、爪を磨くシャイナー付きのやすりを携帯しているのを見て、男性のネイルに可能性を感じた」と話す。ターゲットは経営層や営業職で、人と接する機会が多い男性に定めたため、若い男性がおしゃれでネイルカラーを楽しむサロンとは異なり、あくまでも“整えるだけ”というのが最大の特徴だ。

 

 コースは2種類あり、30分コース(3000円)の場合、専用のやすりで爪の長さや形を整えて、爪の表面を磨き、ツヤを出し、最後に5分間、手のツボなどを刺激しながらハンドマッサージを行う。ツヤを出しながら爪表面を保護するトップコートと呼ばれる透明のネイルは、好みで塗る、塗らないを選んでもらえるようにしている。60分コース(6000円)では、甘皮の除去が加わり、ハンドマッサージの時間が15分になる。

 

 最初はお試し感覚で30分コースの予約をしても、実際に来店して施術を受け始めると、60分コースに切り替える利用者が目立つという。

 

 坂下さんは、男性の場合、女性のネイルサロンのように何席も椅子が並んで、他のお客と一緒に施術を受けることには抵抗があるだろうと考え、施術席は1席しか設けていない。靴を脱ぎ、足を伸ばすことができるリクライニングタイプのソファを置いて、施術中は完全にリラックスできるようにした。
「美ではなく“癒やし”という切り口にすることで間口が広がった。コアユーザーは40代、50代のビジネスマンで、ほとんどの利用者が熟睡するほどくつろぎ、2~3週間後の次の予約を入れて帰る」という。

 

 多い日は1日/9人、平均すると1日/5人が来店。ただ、サロンだけでは売上に限界があるため、レンタルオフィスなどと提携し、完全予約制でネイリストを派遣するかたちでビジネスを広げていく予定だ。

 

 このような男性のネイルケアは、ドラッグストアのメンズケアコーナーではまだ提案しきれていない。実際、やすりや透明のマニキュアを置いてもややハードルが高いと思われるが、ケアに関心の高い男性客がいる店舗では、「爪にも保湿ケアを!」という訴求で、生活に取り入れるのが容易なネイル用のオイルを並べ、反応を見るところから始めてみるのも手だろう。

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