京都・八幡、エジソンゆかりの地で楽しむ老舗の名物餅

2023/12/08 05:59
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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白熱電球で世界の夜を明るくしたのは米国の発明家、トーマス・エジソンである。しかし実用化にあたり、京都の竹が重要な働きをした事実を知らない人は案外多いのではないだろうか。今回は、竹が自生していた場所に足を運んでエジソンの偉大な功績に触れた後、現地の老舗和菓子店へ立ち寄るという話だ。

エジソンと京都の意外な関係とは

神社を参拝後、目的地に向かう

 京都府南部に位置する八幡市が今回の舞台。目的地は、神社、石清水八幡宮近くのエジソン記念碑だ。以前から存在自体は知っていたものの、足を運ぶのは初めてのことである。

 そもそもなぜ八幡市に記念碑があるのだろうか。それは白熱電球の実用化にあたって、エジソンが同市の良質な竹をフィラメントに使ったからだ。これにより従来、40時間ほどだった点灯時間を1000時間と飛躍的に伸ばすことに成功する。

 一般に白熱電球を発明したのはエジソンだと思っている人は多いだろう。しかし実際は違う。発明者は、イングランドの物理学者、化学者であるジョゼフ・スワン。エジソンは改良によって製品を長寿命化した人物である。

 さて記念碑は鳩ヶ峰という山の上にあるため、最寄りの京阪電鉄京阪本線、石清水八幡宮駅近くから出ているケーブルカーに乗る。途中、窓からの眺めはとてもよく、清々しい気持ちになった。

ケーブルカーに乗り、山の上をめざす
窓からの眺めはとてもよい

 降り立ったケーブル八幡宮山上駅から歩いたが、平日であるためかほとんど人の姿はない。道中、目についたのが、そこかしこに生えている竹、竹、竹。フィラメントに使われるだけのことはある。しばらく進むと石清水八幡宮が見えてきた。せっかくだからと参拝し、目的地に向かう。

 数分して到着する。囲いがしてあり鉄扉より中に入ることはできないが、遠目から記念碑を確認できた。どうです、なかなか存在感があるでしょう。

駅を降り、歩いていると竹がそこかしこに生えていた
鉄扉より中に入ることはできないが、遠目から記念碑を確認できた。碑の背中側に、エジソンがフィラメントに使った「真竹」が植えてある

 そばに解説文があったので読んでみる。すると、この碑は最初、石清水八幡宮の境内に建立され、1958年に今の場所に移転されたことがわかった。1984年にデザインを一新、再建され、現在に至っている。来る前に参拝したのは正解だった。

解説文を読むと、記念碑は最初、石清水八幡宮の境内に建立され、1958年に今の場所に移転されたことがわかった

 補足になるが、フィラメントに使用されたのは、実は同じ竹でも「真竹」のようだ。来る途中、目にしたのは別種の「孟宗竹」。現在、あまり真竹は生えていないが、碑の背中側に植えてあるのがそれだと聞いた。この話は帰り道、駅近くの観光案内所で教えてもらった。

 少しの間、現地に滞在、周囲を散策した後、再びケーブルカーで下山した。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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